4.家族との再開
デザスト・フェンリルとヘリトの激闘に遭遇したトムとトイ。その後、タルティル国を出発しトシャンカ国へ帰国することになった。
「しっかし、なんだったんだ?」
「わからないよ、おそらく父さん達が対策会議をしているだろうし、自分達が見たものを伝えておこう」
「そうだな…」
トムは少し神妙な面もちになった。
2人はトシャンカに到着し、護衛と爺やが出迎えた。
「よくご無事でお戻りになられました!」
2人の教育係をしていた爺やが心配と安堵の表情で駆けつけた。
「なんとかね」
トイは答え、爺やは後に降りてきたトムを発見し興奮した様子だった。
「おぉ!!トム様!お久しゅうございます!何年ぶりでしょうか」
「おぉ…久しぶり爺や。相変わらずテンションが高いな」
爺やのテンションと反対に、久しぶりのテンションの高さに引き気味のトム。
「さぁさぁ!中へどうぞ!歓迎の準備はできておりますぞ」
「それはありがとう爺や。だけど、先に親父のところへ行くよ」
「左様でございますか…先ほど会議の方は終了したと聞いております。お父上の部屋へ向かいましょう」
爺やに案内され、2人は父親の元へ向かった。
爺やは部屋のドアをノックした。
「トラブ様、トム様とトイ様がお戻りになられました」
「通せ」
「はい」
ドアを開けた。開けた先に仰々しい室内にいたのはトムとトイの父親、トラブ。部屋に入って正面の場所で椅子に座り資料に目を通していた。
「ただいま父さん」
「ああ、タルティルで巨大生物との遭遇は大変だったな。それにバカ息子の迎えも」
トラブは資料を机に置き、鋭い眼光でトイの横にいたトムを見つめた。
「バカ息子のお帰りだ」
「どこかでの垂れ死んでいたと思っていたが、見るに元気そうで何よりだ」
トラブはほくそ笑んだ。
「そっちこそ上っ面取り繕いすぎてストレスで死んでるかと」
トムとトラブの仲は良くない。トムが旅にでる前と比べれば大分落ち着いていた。そんな最悪の空気を切ったのはトイ。
「僕たちが遭遇した巨大生物の名前はデザスト、巨人はヘリトって言うらしい」
「デザストにヘリト…なぜ分かる?」
「その2体が出現してから謎の博識の人に教えてもらったんだ」
「確かか?」
「おそらくね。判断材料は少ないけど妙な信憑性があった」
「なるほど…名称をそれにしようか」
「それに、デザストが現れると大獣?が出現する前兆だとも」
「大獣…」
「その大獣が何なのかは聞けなかった」
「ふぅ…了解した」
トラブはトイの情報提供で心身の疲労でため息がでた。それにもう1つの大事な情報も聞き出した。
「巨大生物のことはおおよそわかった。もう1つ、こっちの方が重要だが、デザストと交戦したヘリトはどうだ?」
「どうだ…とは?」
トイが聞き直した。トラブは腕を組んだ。
「報告を聞くにヘリトはデザストを倒した。楽観的に見れば我々の味方をしてくれている。その点はどうだトイ」
「それに関しては…兄さんに聞くといいよ」
「トムに?」
「うん、兄さんはヘリトと接触してるっぽいしね」
トラブはトイから横のトムに視線をずらした。トムは後頭部を掻きながら言葉を考えた。
「…見たのは一回だけだしその行動の真意は分からない。味方なのかは断言できない」
「お前の答えはさほど期待はしていない。今の情報を元に作戦を考えていく」
「作戦?」
トイが聞き直した。
「ああ、大変なことに今回のような事態が各国で起きることが予想された。それにともない、こちらもそれに対抗する術を持たなければいけない」
「対抗する術…」
「そうだ、それにその術を使うものと前線で戦う者を各国から1人、集めなければいけない」
トムとトイは部屋から出て廊下を歩いていた。
「全く!あの親父はおれをのけ者にしやがって」
「昔と比べれば大人しくなったよ。2人とも成長したよ、殴り合いの喧嘩になりそうなくらいだったからね」
「まぁな…」
「お互い気持ちの整理がついたんだよ。母さんが亡くなってから2人とも荒れはじめたしね…」
「その点に関してはトイは落ち着いてたな」
「いやぁ~2人が荒れてたから逆に冷静になれたんだよ」
トイは苦笑いをした。
「それもそうか」
それから数日後、タルティル国を中心にある変化が起こりはじめた。
「何ぃ?タルティル国で雪が降ってるだと!?」
ある朝、朝食を食べていたトラブ、トム、トイ。その時に側近より報告があった。タルティル国は例年通りなら、現在は雪が降るはずはなくその逆で猛暑のはず。
「はい、例のデザストが倒された日から徐々に温度の低下がありまして、ついに今日雪が降りました」
「わかった…嫌な予感がするな」
トラブが深くため息を吐いた。トイはフォークを置き話した。
「おそらく大獣と因果関係はありそうだね。例の対策策はできてるの?」
「いや、大がかりの物だ。急いでも間に合わない」
タルティル国では、想定外の天候の変化で慌ただしくなっている。森の中の小屋では、タージが身を潜めていた。机の上には紙があり、巨人をヘリト、巨大生物をデザストと名付けたと国の決定が書かれた新聞が置かれていた。
小屋の外は雪が数センチ積もっており、風も吹いていた。暖炉を焚き、タージはヘリトに変化するためのインヘリットを見つめた。インヘリットはまるで脈を打つようだった。
「こんなおれに何を求めている?」
ありがとうございました。
トムとトイの母親が亡くなってから父親と険悪になったそうですが、なにがあったんでしょうか。




