エンターテイナーの最期
初投稿です。
どうか暖かい目で見ていってください。
私は、シンガーソングライターの「DOLL。」と呼ばれている、1人の女の子。
―いや、正確には、「呼ばれていた。」かな。
そこそこ知名度もあって、私の曲も300万再生を全曲超えている。
じゃあなぜ過去形なのか。何らかの理由で活動を辞めた?スランプに入った?休止中?
いいや、
『死んだ』から。
私は、自殺した。
まるで呪い殺されたように。本物の呪いじゃない。
一生音楽から離れられないような、意志とは反した中毒のような…
きっとファンの人たちも誰も考えもしなかっただろうなぁ、
死にたかったわけじゃない。死ぬしか無かった。
死んだことを自業自得にしたくなくて私はそんな言い訳をしながら首を吊った。音楽を流しながら。
死んだ……はずなのに…………。
最初はそう思った。
だって、さっき首を吊ったのに私の目の前には私自身の死体が吊られているから。
でもその直後すぐさま悟った。
「あぁ、私は死んでもなお音に囚われ続けないといけないのね。」
私が火葬されるまでの経過を無様に見ていながら私は今までのことを思い出していた。
お葬式。
家族もみんな泣いていた、友達も先生もみんな。そこにぽつんと口を半開きにして目を真っ赤に充血させながら立っている長髪の男の子がいた。
弦羅くん。私のただ1人の愛する人。
音楽を通して出会い、結婚する間際、音楽を通して別れてしまった人。
彼が、私のお葬式に来ていた。
そして、誰よりも悲しんで泣いてくれたのだ。