また間違えて連載にしちゃったよ
ふと思いついたことがある。
「バナナの皮で転ばせれば、魔王でも倒せるんじゃね?」
いつもはバナナという皮をかぶっているが、一皮剥いてみればそれはもう誰でも転ばせることのできる最凶最悪の兵器へと早変わり!!
「それでお主、儂の城にバナナ以外何も持たずに突っ込んできたのか? バカなのか?」
「バカな、ではなくバナナ様な? 様をつけろよ、様を」
「何を言ってるんじゃ、お主は」
目の前にいる何か頭を抱えてるおじいさんは、魔王。
人類最大の敵である。
「ちなみに儂は、お主の言う魔王ではないぞ」
「は?」
「儂が魔王でここが魔王城じゃったら、お主の首なんかすぐに飛んどるわ」
「いやでも、この街の人はみんなここに魔王が住んでるって」
「魔王城がある街に、普通に人が住んでることに疑問を持たんか。まあ皆が言っておったのは、魔王じゃなくてマ王じゃな」
「なんだって?」
「マ・オージャン、それがわしの名前じゃ。だから皆、儂の事をマ王と呼ぶんじゃ」
「マ・オージャン?」
「ああ、そうじゃ」
「マ・オージャン!?」
「ああ」
「魔王じゃん!!」
「だからそうだと言っておるじゃろうが!!」
「よっしゃ言質とった、魔王絶対殺すぅ!!」
「おい、バナナ片手にものすごい形相で近づいてくるんじゃない!! 誰か、こやつを止めろおおおお!!」
拘束された。
「本当に何なんじゃ、お前は。親の顔が見てみたいわ」
「父さんは魔王に殺された」
「そ、そうなのか。すまんかったな」
「という夢を見た。実際は今もピンピンしてハッスルして、去年は5人目の弟が生まれた」
「儂の謝罪を返せ!!」
「はいコレ」
「何じゃ? このスイッチは」
「押してみ?」
「押す、じゃと? こうか?」
『すまんかったな』
「何じゃ!? 儂の声が聞こえる!?」
「ほら返したよ、王様の謝罪」
「そういう事じゃないし、急にとんでもない技術の魔道具を差し出すな。音を保存できる魔道具など聞いたことがないぞ」
「え、まじ? じゃあ俺のオナラを保存したやつもいる?」
「......貰っておこう」
結構な額で買い取ってもらえた。
「そんな事より、お主が言う魔王とはそもそも何じゃ?」
「そりゃ人類最大の敵の」
「そんな奴はおらん」
「はい? いや、この世界の全ての魔物を統べるあの魔王」
「そんな奴はおらん。魔王など空想の物語でしか聞いたことがないわ」
「じゃあ魔物を生み出したのは誰だって言うんだ!?」
「魔物は魔力を多く取り込んでしまった生物の事じゃ。魔王が生み出したわけじゃない」
「そんなはずは!? 確かに俺は夢の中で魔王と出会ったんだ!!」
「夢の中だったら、そんな事もあり得るだろうな」
「ありえない!! 俺は確かに魔王を見たんだ!!」
「......なぜそんなに魔王に執着する? バナナの皮を試したいのなら魔物でも良かろう」
「あ、確かに。じゃあ魔物にたーめそ」
「軽いな!! もうちょっと執着せんかい!!」
「あ、マ王様。そろそろバナナのストック切れそうなんだけど、バナナ余ってない?」
「さっさと帰れ!!」