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三題噺  作者: 吾桜紫苑
6/15

6:メンチ、水溜まり、銀杏

「なんで子供って水溜まりに迷わず足突っ込むんですかね」

「わかるー。避けないどころの話じゃなく、そこに足を入れるべきとでも思ってるよね」

「ですねえ……もう雨上がりで晴れていても長靴履かせたいです」

 夜10時、香宮家居住区域の台所。

 子供達の寝かしつけを終えた悠希と楓が、育児あるあるで盛り上がっていた。

 ねーと頷きあう二人に、フージュが皿を出しながら相槌を打つ。

「足が濡れて気持ち悪くないのかなあ?」

「だいたい水たまりを忘れた頃に、足元が気持ち悪いって泣き出してたよ」

「うちは全く気にせず砂場に突っ込んで泥だらけにしてくれやがりました……」

「うわあ……洗うのメッッチャ大変なやつ……」

「全然違うんだねー」

 フージュが氷をたっぷり入れたコップを並べ、悠希があらかじめ作ってあった紅茶を順に注いでいく。楓は冷蔵庫にちらりと視線を向けた。

「ケーキはギリギリまで入れておきたいなあ。そろそろ終わるかな?」

「流石にこれ以上遅くなるのはやめてほしいですねえ」

「終わってるねー、もう来るよ」

「さすがー。じゃあ運ぼっか」

 3人で手分けしてコップををダイニングに運んだところで、扉が開く。

「お疲れー」

「お疲れ様です」

「お疲れさま!」

 労いの言葉に迎えられて、研究漬けの生活を一旦中断して帰ってきた修哉と出張から戻った疾、そして慧が3人が揃った機会にと行っていた訓練から戻ってきた。

「ありがとう……ほんと疲れた……」

「体力落ちてんじゃねえの」

「むしろ疾さんは仕事忙しいのになんで落ちてないんですか……? 俺、毎日鍛錬に参加してますよ……なんで修哉さんと同じな感じで動いてるんですか年取ってください」

「修哉じゃねえんだから、普通に年取ってるし体力も落ちてるっつうの」

「いちいち俺を引き合いに出すな」

 言い合いながらそれぞれテーブルに着いたところで、楓が立ち上がる。

「じゃ、ケーキ切り分けてくるね」

「あ、俺手伝うよ」

 慧が立ち上がって後に続く。悠希は浮かせかけた腰を下ろしてアイスティーに手を伸ばした。

「聞いててちょっと気になったんですが……修哉さんって本当に全然年取ってないんですかね? 体が年取らないのにお腹は空くし眠くなるって、なんか変な感じがします」

 医師としての関心も乗せた悠希の問いかけに、修哉は軽く首を傾げる。

「感覚としては変わりがないな」

「見た目も変わんねえよな」

「私もそう思う!」

「食事睡眠については、魔力で補えるから必須ではないな。魔力が欠乏すれば話は別だが、普段のこれはほとんど嗜好に近い」

「え、そうなんですか……?」

 悠希が瞬く。紅茶を片手に疾が視線を向けた。

「人外の生態は悠希が一番詳しいだろ。そういう連中はいなかったのか」

「その評価は微妙な気持ちになるんですが……。あのアパートには那亜さんがいたから、みんな食事時は大人しくご飯食べていましたよ。だからお腹空くもんだと思ってたんですけど」

「他がどうかは分からないが。昔から空腹を感じにくいものの、全く食べなければ飢えた。その時の感覚を引きずっているのか、食べないでいるのには抵抗感があるが、やってやれないことはないだろうな」

「毎日食べなきゃダメですよ……って言いたいけど、ダメではないって話ですね」

 ややこしい、と悠希が少し眉を寄せる。それを見て修哉が肩をすくめた。

「食べられないわけじゃないから、研究で忘れでもしない限りは食べているが」

「忘れるのもどうかと……にしても、代謝はどうなってんですかね? あ、そういえば羊は」


「羊を話に出すな」

「あの羊さんはちょっとねー……」

「アレと並べて語るのは勘弁してくれ」


「……あの、本当にあの羊は、例の武闘会で何しやがったんですか? なんなら私から管理人に報告しま……だからなんで3人とも目を逸らすんですか??」

 悠希の問いかけで会話が途切れたところで、慧と楓が戻ってきた。

「お待たせー。今日のは力作!」

 その言葉に全員の視線が集まる。

 香宮当主となった楓は料理が趣味だが、流石に日常的に料理する時間を確保するのは難しく、ほとんど料理人に任せている。たまにこうして料理をするのはひとえにストレス発散が目的なので、料理にかけられた手間イコール楓のストレスである。そしてそのストレスは仕事の忙しさそのもので、彼らに取っては明日から振り分けられる書類仕事量の指標であった。

 楓が切り分けたケーキをテーブルに置く。

「「「「……」」」」

 オペラだった。

 何層にも重ねられた一目で手間暇が分かるそれを前に、全員が明日からの修羅場を静かに覚悟した。残りの皿を持ってきた慧が、表情を見て苦笑する。

「やっぱコスパ度外視の料理って最高に楽しい。こないだ悠希がもらってきた洋酒も使っちゃった」

「えっケーキに使ったんですか!? あれを!?」

「おい、料理に使うようなもんじゃねえぞ」

「コスパ度外視って最高だよね! 台所にあるものは私のもの!」

 悠希の驚きと声と疾の抗議にも笑顔でどこ吹く風で席につき、フォークを手に取った。渋々、苦笑交じり、呆れと多様な表情を浮かべながらそれぞれがケーキを口に運ぶ。

「うーん我ながらいい出来!」

「とても美味しいよ、楓」

「うわあめちゃくちゃいい香り……いや、美味しいですけど」

「これ使って不味かったら最早冒涜だろ、まさか使い切ったとか言わねえよな」

「疾、お酒にはちょっとうるさいよねー。ケーキはすっごく美味しい!」

「……まあ、これは確かにな……」

 それぞれの感想を口にしながらケーキを頬張った後は、身内のみで擦り合わせておきたい情報共有だ。

「はい、うちの晴哉(せいや)についてちょっとご相談」

 楓が軽く手を挙げた。

「何日か前に、銀杏の串焼きを食べたいと言い出したんだけどね」

「話の前振りから結構びっくりすること言いますね……え、今5歳ですよね?」

「5歳だよ。前からいわゆる大人の味が好きなんだよな。メンチカツはあんまり好きじゃなくて、ふきのとうの天ぷらが好物っていう」

 戸惑いを露わにした悠希に、慧が苦笑気味に頷く。

「まあ食べてくれるならなんでも良いんだけどね。問題は、この銀杏を串焼きにしてほしいと、地面に埋めて時間を置いた後のものを持ってきたことです」

「え、しっかりしてるじゃないですか」

「銀杏って埋めなきゃいけないんだ? 知らなかったー」

 女性陣がのんびり首を傾げた一方で、疾と修哉が眉を寄せて顔を見合わせた。

「……おい。この山でイチョウが生えてる区域は、5歳児に行けるとこじゃねえぞ」

「誰か連れて行ったのか?」

 二人の問いかけに、楓は首を横に振る。

「あり得る人達に全員聞いてみたけど、誰も心当たりなし。で、本人に聞いてみたらなんて言ったかと言いますと──


『おともだちがつれてってくれて、いっしょにとってきた!』


──って」


 楓と慧以外の表情が一斉に変わった。

「侵入者がいるってことですか?」

「結界に反応はなかったが」

 空気を張り詰めさせて身を乗り出した4人に、楓はふうっと溜息をついた。

「や、流石にそれなら即時対応する、というかした。慧に現場に急行してもらって……」

 視線を向けられた慧が、後を引き継ぐ。

「侵入者の痕跡はなし、結界も問題ありませんでした。探査魔法でも人間や妖の痕跡は全くありません」

「……全く?」

 疾が呟くように繰り返した。慧が頷き返す。

「はい、全くです。香宮の所有する山は、強力な結界にありがちな無害すぎる妖がうっかり通り抜けられる代物ですが、そういう人に害をなすこともできないような妖すら、皆無です」

「……」

 その言葉を聞いて、疾が口をへの字に曲げた。少し緊張感の薄れた様子に、悠希が首を傾げて覗き込む。

「疾さん、どうしました?」

「……昔どこぞの未就学児が、半日山の中で捜索困難になってた事を思い出した」

「え」

 咄嗟に悠希が楓に顔を向けると、楓が目を丸くした。

「悠希まさか、私が一人で山に入れたと思ったの? しかも子供の頃に?」

「え、えっと」

「ない。そいつに出来るのは行けると思い込み、歩き出して数歩で木の根に躓いてすっ転ぶことだけだ」

「事実だけど人の黒歴史掘り出すならせめて事前許可制にして!!」

「事実なんだー……」

 フウの小さな呟きに楓が地味なダメージを受けている傍ら、悠希が首を傾げる。

「え、じゃあ疾さんですか?」

「なわけあるか、そこでさっきから黙ってるやつだ」

「……精霊に危うく神隠しされかけた件か」

「それ以外にあるかボケ」

 修哉が無言で目を逸らした。疾が大きめの溜息をついてから、話を継ぐ。

「つまり、山に住み着いてる精霊の類に魅入られたっつう話だろ。そこの馬鹿は精霊とも気付かず棲家に居座って本を読み込んでる間に、時空が歪んで危うく行方不明になりかけたが」

「修哉さん……」

「むしろよく見つけ出されましたね……」

 慧と悠希のなんとも言えない眼差しからも目を逸らしながら、修哉が話を無理やりまとめた。

「今回は会話をした程度で戻ってきたが、次に接触した時に神隠しになりかねないという話か」

「と、思うじゃん」

「は?」

 4人の視線が集まる中、楓は紅茶の残りを飲み干して続けた。

「それがどうも、これまでやけに大人の味を好みたがるなあと思ってた、銀杏やふきのとう他諸々が全部「お友達のおすすめ」だったみたいでね」

「おい」

「何か食ってないだろうな」

「ない。というか、問題はそこじゃないのよ」

 いいですか、と楓が指を一本立てる。

「晴哉は悲しいほど身体能力と魔術適正で私に似てしまったわけだけど、魔力は一応私よりはあるじゃない。普通に考えて妖にめちゃくちゃ狙われるはずなんだけど……誰かこの中で、あの子と出歩いて一度でも妖を追い払ったことがある人、いますか」

 場に沈黙が落ちた。

 全員が記憶を手繰るも、心当たりが出てこない。他の子供には引き寄せられる低級の妖をそれなりに追い払っているにも関わらず、だ。

「そういうこと。私も最近あの子とお散歩出来てなかったなあと反省して、慧と3人で近所の公園まで歩いてみたんだけど……いやーびっくりしたよね」

 楓と慧が顔を見合わせ、乾いた笑いを同時に浮かべた。

「カミサマ達が行列なして晴哉についてくるのよ! 孫見るみたいなほこほこした顔で!」

「あれでは余程の妖じゃないと近寄ることも出来ないですね……雑鬼ですら遠くから様子見をしていたので、多分、妖の存在をまだ知らないと思います」

「私この街であんなにのんびりお散歩したの、初めてよ」

「それは……」

「わー……すごいねえ……」

「そんなことあるんですねぇ」

「感心してる場合か、それはそれで問題山積みだろ」

 疾の指摘に、楓は素直に頷く。

「そういう相談でした。神隠しされようにもカミサマ達同士で牽制し合ってるみたいで、今のところは無事なんだけど……いつか何かが起こるかもしれないでしょ」

「けどあの状態で、人間じゃないものの危なさとか怖さとかが実感できないんですよ。実際に接触したカミを「友達」と呼んでいるわけだし」

「この山の中は、そうは言っても土地神様に睨まれるような馬鹿な真似をするカミサマは住まわせてもらえないけど……。そろそろ小学校入学も近いし、どう取り扱うかちょっと二人では決めきれなくってさ。どう思う?」

「どう思うって……」

 悠希が意見を求めるように疾を見た。疾が顔を顰める。

「……聞く限りカミの加護に近いだろ。無理やり距離を取らせるのは逆効果だ。恨みを買ったら面倒だぞ」

「妖の存在を知らない上に魔術適正もないとなると、魔力覚醒を期待するわけにもいかないしな。7歳以降なら、ひとまず魔術を見せるというのも手だが」

「そもそも、妖は見えるのかなあ?」

 疾、修哉、フージュと順に発言するも、表情は冴えない。楓と慧も眉を下げて頷いた。

「やっぱり、そうなりますよね……上の慧斗(けいと)は家の中にある魔法陣や山にいる妖を見つけて聞いてきてくれたので、この辺りで悩んだことはなかったんですが」

「カミサマと友達になれるくらいだから、見えるし聞こえるとは思うけどね。付いて来たカミサマにも手を振ろうとして止めたくらいだし。いっそその辺にいる妖捕まえてきて見せようか、とも言ったんだけど」

「前も言ったけど、それ、妖が泣き出すよ」

「というか、捕まえる人によっては連れてくる前に消滅しませんかね……?」

 楓の暴挙とも言える提案に、慧と悠希からダメ出しが入る。人に害をなす妖と対抗する総本山とも言える香宮の本拠地、しかも戦闘能力では歴代ぶっちぎりとすら言われている彼らが「ちょっとその辺にいる妖」を捕まえに行くというのは、もはやいじめの域であった。

「あ、じゃあ双子と一緒に異世界邸に行きます?」

 ふと思いついた、くらいの軽さで悠希が出した提案には、全員から戦いた眼差しを向けられた。

「悠希、うちの子に恨みでもあるの?」

「悠希さん、それはちょっとあんまりかな……」

「5歳の子供を、あんな羊がいる所にはちょっとねー……」

「自分が過去に住んでいたからこそ、その提案はどうなんだ」

「そもそも行ったが最後連れ戻せねえだろうが。送迎に行けるのは悠希だけだが、確実にあの双子に監禁されるぞ。俺は二度とあの邸に足を踏み入れる気はないからな」

「仮にも人が10年近く住んでた家をそこまでボロクソ言います!? あと双子はいくらなんでも監禁まではしないです!」

 悠希の反論に、疾が真顔になった。

「は?」

「……今は、しない、はずです!!」

 顔ごと背けて叫ぶ主張に説得力はなかった。疾の冷たい視線が悠希に突き刺さる。

「……あー、異世界邸はありえないけど……」

 ふと気づいたように、楓が声を上げた。

「梓に相談してみるっていう手があるのか。それこそ妖や神様とのお付き合いは一番詳しいでしょ」

「あ、あー、月波市でしたっけ。人と神様が恋をすることもあるとかいう」

「そうそう。基本的には人間に好意的な妖が住んでるし、害のある妖は梓の実家が……白羽たちが対処してるんでしょ。割と安全に妖ってこういうものだよ、でも危ないこともあるよ、っていうのは実感しやすそうだし、何よりうちの子みたいなのにも慣れていそう」

 話を逸らしたくて必死の悠希と楓のやりとりに、修哉と疾は微妙な顔をしているが反対はしない。案としては致命的にまずいわけではないのだ。


 ただ一つ、問題として。


「けど、梓さんに相談すると、自動的に子供達のことが外に知られますよね」

「それだよねえ。しかもこの特異体質が切掛けになっちゃうのがなあ」

 今の今まで対外的に伏せてきた、香宮の次世代の存在が広く知られることになってしまうという点があった。

「というか……本当にまだバレてないの? まじで? そっちの方がびっくりなんだけど……慧斗なんてもうすぐ中学生だよ」

「問い合わせは来ないんだよなあ……」

「どうせそのうちバレるだろうけどその時はそのとき! って構えてたのに拍子抜けだよね」

 不思議そうに楓と慧が首を傾げる。どことなく緩い夫婦に、悠希が苦笑する。

「楓のところもこっちも、小学校に上がるまでは気を使いましたけど。学校に通い出してからはそのうち自然と知られるからって最低限にしか構えてませんでしたもんね。紅晴の中ではそこそこ注目されましたけど」

「そうだねー。でも私も聞かれたことないよ。ノワもないよね?」

「ないな」

「俺もない。耳にしたらクソほど鬱陶しく絡んできそうな瀧宮羽黒や狸親父からも連絡がないから、ほぼ確実に知られてない」

 修哉と疾の断定に、楓が首を反対に傾げる。

「羽黒さんはご本人が大変だったからじゃ……あ、その件で注目集まってたからかな?」

「それもあるかもしれないけど、流石にそれだけじゃ説明がつかないだろ……お義母さん達じゃないの?」

 慧の問いかけに、疾と楓がそっくり複雑そうな表情になった。

「……否定出来ないところが……」

「やる気になれば確実にやり遂げるだろうが、こちらの意図を理解した上でわざわざやるかは五分だな……」

「ま、まあほら、3人のことがあるから、神経質になるのも無理はないというか……」

「一歩も外に出さずに育てたらどうかと、ナチュラルに軟禁を提案して来たのはうちの父さんですが」

「…………心配だったんだよ、な?」

「そ、そうですね…………?」

 義理の親子になった二人が、実の子供達である二人からそっと目を逸らした。

 はー……と今日一番の深い溜息をついてから、楓は気を取り直して話を戻す。

「ま、どのみち中学に上がったら梓経由で絶対バレるし、いい機会だからうちの子紹介がてらにちょっと相談させてもらおっか。あいつら子供いたの!? が話題の主体になって晴哉の件が薄れてくれたら一番だけど」

「それが良いかな」

「良いと思います」

「……絶対面倒なのが来るな」

「まあ、それは仕方ないと思うしかないだろう」

 疾が面倒そうな顔になった。修哉が肩をすくめる。

「そうと決まれば早めに予定入れちゃいたいなあ。そろそろ入学名簿とか作られる時期って聞いた気がする」

「あ、そうですね。うちの双子たちの時も、大体このくらいの時期に電話かかって来てました……『一般の学校で本当に大丈夫なのか』って」

「大丈夫じゃなかったでしょ、あの怒涛の呼び出しコール」

 楓の真っ当な指摘に、一時期多忙な両親の代わりに呼び出されては保護者として頭を下げていた悠希は苦笑いを浮かべた。

「正直、梓さんがいなかったら途中で退学させられてたと思います……楓の子達とうちの子達見て、あの二人の問題児度合いを再確認しましたよ」

「前も言ったが、再確認が必要な時点で完全に常識狂ってるからな」

「え、でも、校舎が無事ならセーフかなって……」

「セーフなわけあるか」

「校舎の無事が心配される時点でヤバい」

「私らの通った高校はその昔、危うく爆弾で壊されそうになったと聞きましたけど!?」

「ほぼ全員に効く無差別爆撃すんな悠希のバカ!!」

「私ばっかり非常識扱いされるのは絶対おかしいです!!」

 わあわあと言い合う香宮当主と当主補佐夫人のしょうもないやりとりに、呆れの溜息と苦笑が交わされた。

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