第三話 最悪の仲間
「ウベェ! いきなりなにするのかしら! 苦っ、まずっ、なんてものベルに食わせるのかしら!」
ベルは口に入ったアンブロシアなるものをペッペッ吐き出す。
「寝言は寝て言えや! それはてめえが食えゆーたものやろが!」
僕の言葉にもベルは全く動じない。
彼女はどっからか持ってきたタオルで顔を拭う。
「まあまあ、細かい事はおいといて、これをあげるから機嫌をなおすのかしら!」
ベルが僕に、どっからか出した装飾過多の台座に乗った宝石みたいなものを渡す。
「これは、魔法取得のオーブ。お前、これを掲げるのよ。これが最後の1つ。なんとお前に魔法を授けるわ!」
僕は言われるがままにオーブを掲げる。オーブは自然に砕け散り、僕の上に光になり降り注ぎ、頭の中に呪文式が流れる。僕は1つの魔法を取得した。
「アンブロシアじゃないけ! いらんわ、ボケェ!! もっとましな魔法をよこせやコラァ!」
僕はとりあえずベルをどつく。
「お前! この素晴らしい魔法で、飢えを無くし世界を救うのかしら!」
どつかれても微塵もめげること無くベルは遠くを見てうっとり話す。
「飢えた人にこないなもん出したら殺されるわボケェ!!」
僕は堪らず、ベルのふっとい首を軽く絞める。ハイエルフは頭の中もハイなのか? 大丈夫かこいつ?
「ゲホッ、ゲホッ。なにするのかしら。しょうがないじゃないの! 魔法はイメージで、ベルはイメージが下手だからかしら……」
僕から解放されたベルは少しむせる。まだ、怒りが収まらない。
「お前のイメージじゃ、う○こが食い物なんかワレェ! さっきのひり出して、自分で食ーてみろや! コラァ」
さっきの行為は、僕の逆鱗に触れた。食べ物を冒涜しすぎている。
特にさっきの差しだした時の笑顔がカチンときた。
「なんで、ベルがあんなもの食べないといけないのかしら?」
ぺちーん!
堪らず、頭を引っぱたいてしまった。
「自分の食えん者を、人様にだすなー!!」
僕の料理人? としての矜持がこいつを許せなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「じゃ、行くのかしら!」
しばらく反省したあと、立ち直ったベルはきゅっと僕の手を握る。
「えっ? 何のことだ?」
ベルは僕の手を引き歩き出す。
「アンブロシアで魔力使い果たしたから、よこすのかしら。手からも少しは吸収できるのよ!」
「で、どこに行くんだ?」
「お前がベルを誘ったのかしら。行ってあげるわよ冒険ってヤツに!」
僕が、最低最悪な生き物を世に放った事に気が付いたのはもっと後の事だ……
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