第十三話 また変身
チュン! チュチュン!
小鳥の声がする。僕は横で眠ってるサリーをギュッと抱きしめる。手を繋ぐだけだったはずが、気がついたらこうなってた。僕も男だ。しょうが無いだろう。
「ウウッ!!」
魔力がごっそり持って行かれる。やばい、体全身が痛い。
「ウガガガガガッ!」
僕は奇声を上げながらのたうちまわる。サリーが驚いて起きる。そして僕を抱きしめる。
「大丈夫! 大丈夫よ!」
サリーが横から僕の頭を抱く。柔らかい。
幾分痛みから気がそれた。僕はのたうちまわる。しばらく苦しみ続け、痛みが落ち着く。僕の胸は無く、ロンギヌスが復活している。苦しみながらもワンピースは脱いだ。あとショーツもだ。これ以上服を減らしてたまるか。
サリーはその間ずっと僕の頭を抱きしめてくれた。そして、僕が落ち着いたときに囁いた。
「おはよう。マリーちゃん。いえ、キラ・シドー。クレイジー仮面」
僕は鼓動が早くなる。けど、そんな気がしていた。
「いつから、気づいてた? すまんが後ろ向いててくれ」
僕は収納から出した服を着る。
「こっち向いていいぞ」
サリーは、上気した顔でこちらを見る。
「ほぼ、最初からよ。重力操作! そんな珍しいスキルもってる人はいないわよー」
サリーはそう言うと僕に抱きついてきた。
「ああ、あたしの勇者様……
牛男君の斧から助けて貰ったとき、あたしには、白馬に乗った王子さまに見えたわー」
実際はコブラをつけた玉子様だけど、脳内麻薬がでてたのであろう。ムー、下品で面白くない、スランプか……
「悪いが、離れてくれないか、君が魅力的すぎて、変な所が変身しそうだ」
僕にサリーの胸が押しつけられて、できるだけソレを見ないようにしてるが、ロンギヌスが進化しそうになっている。
「だーめー! 今はキラさんは、あたしのものー」
さらに抱きついてくる。役得だけど、これはまずい。
「ありがとう、だけど、まずは牛男に説明しないとね」
僕は最後にサリーを、ぎゅっと抱きしめると、肩を掴んで離す。
僕の事を理解してのこのリアクションは正直嬉しい。嫌われると思っていたから、余計嬉しい。
なんかサリーを好きになってしまいそうだ。サリーは潤んだ目で僕を見ている。
やばいかわいすぎる。僕は後ろ髪引かれながら、隣の牛男のいる部屋へと行く。
「おはよう牛男」
「おはようございます。私の偉大なご主人様」
牛男は読んでた本から顔を上げると僕にうやうやしく、頭を下げる。表情の微塵の変化すらない。
「牛男! 僕がわかるのか?」
「どうされました? ご主人様はご主人様ですよ! 少し見た目が変わっても、見間違うはずないじゃないですか?」
僕は牛男に抱きつく。この際牛臭い事なんてどうでもいい。いかん、すこし目が潤んでしまう。やっぱ牛男は最高だ!
ドクン!! ドクンドクン!
心臓が痛い! また、来やがった! この感触は……
僕は牛男から離れ、胸を搔きむしり倒れそうになる。それを牛男が抱きかかえてくれる。全身が焼けるように痛い。何とか気を失わずにすんだが、僕はまた女の子、マリーに変身していた……
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