第十一話 金策
「そうなのよ。それが問題なのよねー、今現金小金貨5枚しかもってないのよねー……」
サリーはため息をつく。
「魔道器や遺跡を売ったお金はマリーのお母さんに払っちゃったし、これからはこれが頼りよねー」
サリーはポケットから魔石を出してもてあそぶ。ん、遺跡を売った? なんか危険な香りがするな。
「あたし、マナがなくなったら、戦えないじゃない。今日はほぼ役立たずだったし。だから、無限に魔石を生み出すってのに飛びついちゃったのよー。まぁ、これでマナ切れは解決できるわねー」
他の2人が規格外なだけで、サリーは素手でもかなり強いと思う。それにクレイジー仮面のときのサリーは地獄だった。僕のグングニルがなかったらやられていただろう。
「と言うわけで、今度、お金になる依頼を受けるぞ」
「それには賛成。私も懐が心許ないわ」
アナが答える。モモさんも頷いてる。
「悪いが、僕はいろいろ用事があって、それが終わってからでいいかな?」
話聞くところ、アナたちはまだ学生で、あと一週間後に学校に戻る予定らしい。聖都の中等部を卒業した所で、高等部への入学式までの間ここでお金稼ぎと修行のために冒険者をしてるとのことだ。ということは、僕と同い年? 僕はちなみにエイプリルフールが誕生日だ。アナは二十代前半とばかり思ってたのに……彼女らの男性免疫のなさは、幼いだけでなく、中等部は女子校だったとのことだ。中等部でトップクラスの実力で金の認識票を手に入れたそうだ。
「マリー……用事があるのなら私が護衛しようか?」
アナが少し赤くなりながら僕に言う。可愛く見えるから止めて欲しい。
「ありがとう、けど、大丈夫。牛男がいるから」
「牛男ばかりずるいぞ、私より、牛男の方が好きなのか?」
「そういう訳じゃないけど、お前、少しでもお金稼がないと。僕の下着代払ったのか?」
「う。しょうが無い」
なんとかかわせたな。出来るだけ変身の条件がわかるまで彼女たちとは距離をとりたい。コントロール出来るようになってから寄生させてほしい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あらかたご飯を食べ終える。おいしくはあったが、抜群においしい訳じゃなかったので、こんど、みんなに僕が僕好みの料理を作ってみたい。山育ちで自炊してたのと、前世の知識で、多少は、いやかなり自信がある。動物もまるまるさばけるし。
「ところでさー、誰か家に、調理器具そろえてないのか?」
僕はみんなを見渡す。
「私、あるわ。料理、練習してるから」
モモさんが、答える。
「モモさん、こんど貸してもらえないか?みんなにステーキ焼いて一緒に食べたいな」
「それはいい!」
「あたしもたべたいー!」
「ワタクシモイキタイ!」
「それでは、部屋、片付けるわ」
ステーキパーティーの予定が決まった。楽しみだ!
デザートが運ばれてくる。パンケーキの上にフルーツが山盛りに乗って、メイプルシロップがそえてある。
「ところで、牛男の事をもっと色々教えてくれないか?」
僕は牛男を見る。紙袋は被ってない。所見の時と違って目が優しい。
「なんか、口説いてるみたいだな。同じセリフを私にも言ってみてくれないかな?」
アナが僕を見る。僕はアナの手を取り握りしめ目を見つめる。ゆっくりまばたきして、
「僕にアナの全てを教えてくれないか?」
アナは真っ赤になり硬直する。この口だけ娘め! アナを黙らせた所で、牛男が語り始める。
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