第十話 お食事
「解呪」
母さんが呪文を唱え、僕の額に指を添える。たちまち僕の体は自由を取り戻した。僕は即座にトイレを借りる。
「さてと、じゃ、アナ! サリー! 外に出ろ! 牛男付いてこい!」
僕は牛男の手を引き外に出ようとする。
「マリー冗談だよ。話合おうじゃないか」
アナが引きつった笑みを浮かべる。
「ここでいいのか? 家荒れるぞ!」
「……」
「「ごめんなさいでした!」」
アナとサリーの声がはもる。腹も減ったし勘弁してやるか。
「ありがとう母さんと言いたいとこだが、もとはというと、母さんの魔法が原因だから、約束は反故だ!」
何か言うこと聞け的な事言ってたが、そんなん知らん。
「しょうが無いわね。けど、次は約束守って貰うわよ」
そう言うと、母さんは僕に新しいミサンガを付けた。そんなに僕が心配なのか? それとも1日奴隷にどうしてもしたいのか? まあ、助けて貰ったしいいか。
「では、皆さんまた」
母さんは薄れて消え去った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
辺りは暗くなり始め、僕たちは、今、個室のあるレストランに来てる。何故個室かって、牛男が気兼ねしないようにだ。僕たちはテーブルを囲んでいて、料理が運ばれてくる。頼んだのはサラダとパスタと牛のステーキだ。牛男は共食い感は無いそうだ。料理を食べながら歓談する。
僕が町の外で気を失ったあと、モモさんはサリーを担いで治療院に連れて行って、着換えた後、牛男の町への滞在許可をとるために領主の舘に向かい、牛男を登録したそうだ。その間、アナはゴブリンの討伐証明部位を取って死骸を埋めるのを繰り返してたって言っている。
牛男は魔物だけど、前科がないのでサリーのペットとしてあっさり許可が取れたそうだ。金の認識票はチラつかせたけど。
アナは回収が終えた後、牛男と一緒に門の所で待ってて、その時に門番から貰った濡れたタオルで僕の全身を拭ってくれたとのこと。
サリーは金にものを言わせて最速で治療して貰い、アナたちと合流。牛男の服と僕の体を隠すマントを買ったりとかしてくれた。
そのあとモモさんが合流して町に入り、アパートに行ったそうだ。ちなみにアパートの衛兵ゴーレムには牛男はペット認定されてるから、出入り自由とのことだ。
討伐証明部位は、サリーがギルドで換金し、ついでに情報を集めた所、あのとき他の門もゴブリンが発生していて、その後、中位モンスターも召喚されたらしい。他の門の魔物はたいして強くなく、死者はでてないそうだ。黒マントを見た者もいない。
僕らが今食べているのは、サラダは塩とオイルと酢のみのシンプル。パスタはトマトソース。もう少し塩が欲しい。ステーキは多分サーロインだけど個人的にはもう少しレア目がよかった。全体的においしく、お腹が満たされていく。朝から何も食べてなかったし。
「ちなみに、みんなお金もってるのか?」
僕はふと、口にする。
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