第七話 ３人の冒険者
「どっせーい、しゃあ！」
白い鎧の女性が僕のそばのオーク達を一掃する。槍で１突き。恐ろしい力と精度だ。僕は呆気に取られ、へたり込んだままだ。
「インフェルノ！」
小柄な女性が放った広範囲の炎の魔法が遠くのオーク達を一網打尽にする。
最後に残ったデカブツを黒騎士が大剣で無言で一刀両断する。
もう立っているオークは居ない。あれほどいたオークが瞬く間に屍となっている。まさか、こんなに強い奴らがいるとは……
「それで、お前は何者なんだ？」
僕に近づいてきた白い鎧の騎士が前に立つと兜のバイザーを上げる。端正な顔に青い瞳かなりの美女だ。若い。多分まだ未成年だと思う。
僕は下半身丸出しなのを思い出して足を閉じる。石の床がひんやりする。両手で兜を支えないと前がうまく見えない。
何て説明しよう。まず、『セイクリッド・マローダー』の事は話したくない。もし僕が生きて地上に帰ったらジェフたちは僕を抹殺しようとするはずだから。
「アナ、怯えてるんじゃないの？ 敵意は無いそうよ」
走り寄ってきた小柄な魔法使いがフードを取る。ピンクっぽい色のツインテールの少女だ。こっちも若い。美人と言うよりもとても可愛い。特筆すべきは胸が凶悪に大きい。ロリツインテール巨乳、僕の好物詰め込みすぎだろ。これで飯２杯はいけるぞ。
「で、何してるんだ？ パンツも穿かずに」
アナと呼ばれた騎士はキラキラとした目で僕を見つめてくる。まるで少女漫画の夢見る少女みたいだ。めっちゃ可愛い。僕はついドキリとしてしまう。
「露出狂なのか？ それともオークを誘惑してたのか？ もしそうなら謝る。ついつい勢いで全滅させてしまった。つぎオークを見つけたら連れてくるからそれで勘弁してくれ。私も人とオークの戯れる姿を見てみたい。むしろ見せてくれ！」
え、何言ってるんだコイツ？ 何、目を輝かせて下品極まりない事言ってやがる。
「いらんわ！ それならお前がオークと絡みやがれ！」
ついつい叫んでしまった。いかん、一応恩人なのに我慢できなかった。何が悲しくて、こいつの前でオークと愛を育まないといけないんだ。どういうプレイだ。僕にそういう趣味は無い。その前に僕は男だっつーの。
「アナ、ややこしくなるから黙ってて。それで、あなた何してるの？ 人間なの？」
巨乳魔法使いが僕の前でしゃがんで視線を合わせる。かわいいしとっても優しそうだ。それに多分最低限の良識はありそうだ。さっきの奴はおいといて、助けてもらったし悪い人達ではなさそうだ。信用を得るために嘘はつきたくないので、かいつまんで話すことにする。
「人間です。冒険者ですが、仲間に裏切られて、ランダム移動のワープポータルに放り込まれて迷ってた所です。理由は解らないのですが、弱く小さくなったので、鎧が脱げず服が脱げて困ってます」
考えながら、一字一句はっきり言う。うまくまとまってるはずだ。正直自分で言ってても荒唐無稽だ。信じて貰えるのか？
「もしよかったら、助けてくれませんか？ 回復の魔法を使えますし、なんと、魔法の収納をもってますよ」
ここでダメ押し。僕の有能性をアピールする。魔法の収納は珍しくて便利なスキルだ。これを持ってるだけで冒険者たちにはひっぱりだこだ。
彼女達３人は僕からすこし離れて相談し始める。僕は固唾をのんで見守る。せめて鎧と兜だけは外すのを手伝って欲しい。それと早くパンツ穿きたい。人として……
「あなたの言うことをすぐには信用できないわ。まずは、その兜をとってもらってもいいかなぁ？」
小柄なツインテール少女がしゃがんで僕に話しかける。目がキラキラしてる。興味津々って感じだ。
「頼む。むしろ取って欲しい」
少女は僕の兜に手をかけた。
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