第四話 売る
「私の出来る事は、剣を握る事と、多少の自己強化魔法と、ご存じの通り戦神降臨。異界の神の力を借りる事で、飛躍的に強くなれる!」
アナは薄い胸を張る。
「私は女ながら、すばらしい騎士になりたいのだ。祖父のような弱い者を守る素晴らしい騎士に! 得意な攻撃は祖父伝来の突きだ! 私が幼いころから祖父はよく言ってた!」
アナはひと呼吸おき、
「騎士は突くもの! 突いて突いて突きまくれ! 悪党! 魔獣! 竜! 姫様! 突いて突いて突きまくれー!!」
アナは拳を握り力説する。ここまで引っ張って落ちは下ネタかよ! そうか、アナの性格はお祖父さん譲りなのか……
「アナお前のお祖父さん、エルフだろ」
「なんで分かったのだ? お前は、私のストーカーなのか?」
アナは大きな目を見開く。むしろお前が僕のストーカーだろ! やはりエルフ恐るべし。女子に幼い頃から下ネタ仕込むな!
僕の心の絶対会ってはならない者リストに、アナの祖父を追加した。
「はい、これ返すよ」
アナが僕にロザリオを差し出す。それを受け取ろうとすると、サリーにかっさらわれた。
「うぁ、これなに、かわいい気にいったわー! これちょうだい。いや、売って! 大金貨一枚でどう?」
サリーが目をキラキラさせている。心なしかギラギラな気もする。
「そりゃ安すぎだな。そうだな、その千倍ならいいかなー」
冗談でふっかけてみる。こいつは、苦手なんで意趣がえしだ。けど、なんかで見た事があるシチュエーションだな。
「言質いただきました! 持ってくるからまってて!」
まじか……サリーは僕にロザリオを渡すと、ダッシュでどっかに消えてった。
サリーは戻ってくると幾つもの大きな皮袋から大金貨をぶちまけた。それをテーブルに並べていく。
今僕の前には大金貨の山がある。これで、一生遊んで暮らせるのでは。
「約束だから渡すよ」
僕はロザリオをサリーに渡す。
自然に頬が緩む。大金持ちだ!
「ありがとう! 伝説ゲーーーーーット!」
サリーは、高々とロザリオを掲げる!あ、大きな胸がぶりんぶりん揺れてる。
「これは、間違いなく吸魔のロザリオ!昔、ある魔神を消滅させた、魔法の品、いわゆる神器よ!」
サリーはロザリオに頬ずりしている。そんなに気に入ったのか?
「昔、強大な魔神がいて、その時代の英雄たちで何とか倒したけど、消滅させることはできなかった。当時の魔道技術を総動員して、魔道器をこえるもの、神器が作られた。効果は、魔神の魔力を封印して吸収するもので、ロザリオで魔力を吸って、対になる聖杯から魔石として放出するというものと言われてるわ。そして、その魔神は魔力を吸い尽くされて消滅したらしいわ」
サリーはロザリオを首にかけると、なんらかの呪文をとなえた。
「まったく魔法が使えないわー! ということは、マリーちゃんおっぱいだけでなく、魔力も化け物というか人外ねー!」
「人外言うな! 素晴らしいといってくれ!」
失礼だな! 魔人を消滅させた? なんて危険なもの人に付けてやがるんだ、あのばばあ! 魔石として放出する? そういえば、母さん、魔石が売れたお金って言って僕にお金をくれたような……じゃもともと僕のものじゃんかよ!」
「マリーちゃん、それ、誰から貰ったの?」
サリーの問いに答えたのは……
「私からよ! 初めまして、マリーの母のファ・シドーです。娘がお世話になってます!」
サリーの後ろに現れて、そう言って頭を下げた。そこには、おっぱいおばけの僕の母さんが立っていた……
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