第一話 攻める
「あーあ、かわいそう。マリーちゃんのおかげで、牛男君シャワーだけになっちゃった」
「ストップ! ノータッチ!」
僕に抱きつこうとするサリーを両手で制する。
僕は今、ソファに座って牛男に大きな団扇であおいでもらっている。
あの後気が付いた僕は、裸だったはずなのに、当たり前のように服を着てた。
恥ずかしいけど、悲しい事にクレイジー仮面も含め彼女らの前では裸の時間の方が長いので、慣れてはきている。
「なんで混浴する事になったんだ? 僕は女性の裸が苦手なんだ。まず、見たら気絶する。いままでの経験上」
「それだ! なんで気絶するんだ? 自分の体くらい見たことあるだろ」
アナが僕に問いかける。
「それは、何ていうか、恥ずかしいから……」
声が小さく尻つぼみになる。だって、ほんとに恥ずかしいんだもん。
「そうか。しょうがないな。お前には貸しがある。慣れさせてやる。好きなだけ拝むがよい!!」
「ストーップ! ストップ! 脱ぐな。脱ぐな。話を聞け。また、倒れちまうだろ」
僕は、アナを制するが、言うこと聞かない。みるみる服を脱ぎ、下着姿になる。
「お前、顔真っ赤だぞ、変な奴だな? 今日の所はこれ位で勘弁してやる!」
ほんとにしょうがない奴だ。何考えて生きてるんだろう。エルフ系いやだ。あ、エルフと言えば、ハイエルフ。しっかりすっかり忘れてた。
「話は変わるが、アナ、ハイエルフってしってるか?」
「唐突だな。それは薬が極まってハイなエルフの事か?」
だめだこりゃ。あとの二人も首を横に振ってる。やれやれなのか? 知らないのか?
「それよりもー、牛男くんは、私たちを見て欲情しないの? そこに半裸のかわいいハーフエルフいるのよ?」
まーた、どーでもいいことをサリーがぶっこんでくる。
「ギャク二キクガ、オマエラハワタシ二欲情スルノカ?」
「「…………」」
みんな黙り込む。
「ソウイウコトだ」
「私はいけるかも!」
アナ。お前、牛でさえもストライクゾーンなのか。やはりエルフ系恐るべし!
「スマンガ、貧乳ハ……」
「おい! 牛男! 貧乳言うな! またやるのか!『戦神降臨』50%!」
アナがキラキラと光り輝く。僕は咄嗟に後ろを向く。
「……アナ、乳首透けてるわよ!」
モモさんが呟く。む、それは見たいかも。けど、確実にまた遠くへ行っちまいそうなので我慢する。
「今日の所は、勘弁してやるか。私が下着姿で命拾いしたな!」
やっぱりアナでも少しは恥ずかしいのだろう。
光りが治まったのを確認し、後ろを向く。
そうか。恥ずかしいのか。
ふふふふふふふっ。
ここからは僕のターンだ!
さぁ。お仕置きの時間だ!!
コイツは暴走しまくるから、ここでしっかりお灸を据えて大人しくなって貰おう。
「アナ。お前、何牛男相手に恥じらってんだよ。所詮口だけか? さっき脱ぐって言ったよな? オイ、全部脱げよ。牛男、しっかり見守ってやれ」
「なっ!!」
アナは体まで真っ赤になる。所詮、口だけだな。
「おいおい急げよ。日が暮れるだろ。牛男手伝ってやれ」
「イエス。マイマスター」
僕は牛男に目配せする。
「なっ! ななっ!」
アナは涙目だ。ここでマウントを取ってやる!
ゴシッ! ゴシッ!!
僕と牛男の上に巨大なげんこつが落とされる。巨人の手だ。
「もうっ。マリーちゃんも牛男君もアナをいじめないの。仲良くして」
やはり、最強はモモさんだな……
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