幕間 ハーレム聖女 3
「わたし、いま、しあわせだわー!」
サリーの蕩けるような声が聞こえる。ああそうだね。僕もとってもしあわせだよ。けどさすがに長い。ずっとワシャワシャされてる。くすぐったいよ。
「しあわせはいいが、サリー、もう綺麗になっただろ?」
サリーが僕のお尻や、お股を執拗に洗っている。こっちこそちょっと変な気持ちになりそうなんですけど。
「マリーちゃん、お湯かけるわよ」
サリーが僕についた泡を落としてくれる。
「ありがとうサリー」
「では、浴槽に行くわよ」
声から判断してモモさんが僕の手を引く。やばい、初めてモモさんの手を触った。戦闘職の筈なのにめっちゃ柔らかい。
「マリー! なんか赤いぞ。のぼせたか?」
アナが声をかけてくる。相変わらずデカい声だ。
「だいじょうぶだよ」
む、すぐ顔にでてしまうな……
「マリーちゃん、ゆっくり足あげてー。おっけ、それからゆっくりお風呂に入って」
モモさんに、言われるがままにする。足が温かいお湯に触れる。
チャプン。
そしてゆっくりつかる。
うーん。最高だ!
がんばったかいがあったってもんだ。ん、いつもずっしりな胸の感触がない。あ、浮くんだな。
チャプン!
チャプン!!
ザザザザザーッ!!
なぜお湯がたくさん溢れる?
僕の足をかき分けて柔らかいものが割り込んでくる。そのまま下腹部まで柔らかい暖かいものが密着する。そして、すべすべしたものが僕の胸を押しつぶす。
あと、背中にも、柔らかいものが押しつけられる。僕の腰を挟むようにすべすべしたものが滑り込んできて、温かいなにかが背中全体に押しつけられる。
なにが……
何が起こってるんだ……
僕は、驚いて咄嗟に目をあける。
右肩になにかが乗っかる。ゆっくり横を向くと、髪をタオルでまとめた桃髪の幼さの残った美少女の蕩けた顔が、息を感じるほどのとこに!
「……あったかいね……」
満面に笑みで、サリーが呟く……
左肩になにかがしなだれかかってくる。
そちらを向くと、黒髪を捻りあげタオルでまとめた超絶美少女! 僕の方を向き目が合う。潤んだ瞳に引き込まれそうになる。そして彼女は微笑む……
「……しあわせ……」
僕の体で形のいいスライムさんが軽くひしゃげている。にごったお湯が大事な所は隠してくれてる。
超絶美少女が、裸で僕にしあわせとおっしゃっていらっしゃいます……
「お前ら、早く代われよ!」
小さなタオルで、必要最小限のとこを隠した、金髪のハーフエルフの美少女がいる。少し顔をひそめてる。濡れたタオルはほぼ透けて張り付いている。
「お前ら……なんで……裸……?」
僕は何とか声を絞り出す。
「風呂は裸! 当たり前だろう!」
アナは首をかしげる。
暖かいお湯の中で、暖かい体と密着してる。
……美少女サンドイッチ……
た、確かに、男の浪漫のうちの1つだ……
3人の美少女と混浴……
……ここは天国なのか……
僕の視界がみるみる白くなっていく……
「キャー! 嘘ー! 鼻血! 鼻血!」
その、慌てたサリーの声が、僕がこの世で最後に聞いた言葉だった……




