幕間 ハーレム聖女 2
「アナ。シャワー浴びたい。ていうか、浴びさせろ」
「いいぞ、けど、せっかくだから浴槽につかったらどうだ? 温泉の素も入れてるから、疲れがとれると思うぞ!」
アナが素晴らしい事を言う。実家を出てから、体拭き水浴びばかりで、浴槽がめっちや恋しかったとこだ。
けど、悲しいかな、間違いなく僕は自分の裸を見たら興奮して倒れてしまうだろう。貧血女子のマリーを恨む。早く慣れないかな。今の所は目を瞑るしかないか……
しかし、浴槽でブラインドはデンジャラスだ。やむなし、僕はぶっちゃける。
「頼みがある。僕は風呂に入るとき、目を瞑らないとやられてしまう体質なんだ。理由は聞くな! 恥ずかしながらお願いだが、みんな手伝ってくれないか?」
どういう体質だよと自分でも思うが、いい言い方が解らない。
それに、どっちにしても、僕が入浴したら覗かれるないしいじられるのが明白なので、いっその事手伝ってもらう事にした。目を瞑っていたら、恥ずかしくもないはずだし。
「了解! みんなでお前をサポートしてやる。大船に乗ったつもりでいじられろ!」
「おいっ、洗うのは許可するが、無駄に触るなよ」
アナがガッツポーズしてやがる。なにが、嬉しいんだ? 女の子同士だろ。けど、いじる前提はノーグッドでお願いします。
「おーふろ♪ おーふろ♪ みーんなでおーふろ♪」
サリーが歌う。あのねぇ、きみらと混浴するわけじゃないから。
「やっと、その怪物を見ることができるのね」
モモさん……怪物言わんでほしい。僕は人間だ。
正直、怪物はあなただと思いますという言葉をグッと飲み込んだ。言ったら後が怖すぎる。
「じゃ、牛男、悪いが先にいかせてもらう。お前もあとでしっかり洗えよ。お前かなり牛臭いから」
「ゴシュジンサマ……」
牛男がショックを受けている。だが事実だ。牛男は牛糞臭い。昔嗅いだ事がある牛舎の匂いがする。その時、牛ってでけーなって驚いた記憶がある。
「あと、お前らも混浴したいなら、牛男と仲良く入れ! 手伝って貰って悪いが、混浴は無理だ。僕のメンタルが持たない」
僕の言葉に三人娘はニコニコしている。全く聞いてないな。
そして、アナのナビで浴室へ向かう。脱衣所で目を瞑る。
「はーい。万歳してー」
モモさんが僕の服を脱がしてくれる。うん、幸せだ。新婚夫婦ってこんな感じなのだろうな。
「ば、化け物……半分よこせ!」
アナが感嘆の声を漏らす。
「化け物ちゃうわ。あと、やらんわ」
半分無くなったらかっこ悪いつーの。
「気づいてたけど、あたしよりでかい……」
「サリー触るなよ、あと、抱きつくな!」
サリーを制する、まじでなにされるかわかったもんじゃない。
「マリーちゃん……きれい……とっても……」
「モモさん、恥ずかしいので、あんま見んといてくれます?」
モモさん。君のほうがきれいだと僕は思います。
「マリーこっちだ。足元に気をつけろよ」
アナが僕の手を引く。ひんやりとした床が気持ちいい。
「マリーそこに椅子がある。ゆっくり座れ」
アナの言うまま座る。なんかスイカ割りみたいだな。
「じゃあ、まずはシャワーかけるわよ」
サリーがシャワーを僕に浴びせる。いい温度だ。これ最高。
誰かが頭をわしゃわしゃしてくれる。多分シャンプーっぽいものをかけられて、わしゃわしゃ。すすいで、コンディショナー多分をかけられて、わしゃわしゃ。んー気持ちいい。このまま寝そう……
肩をがしっと掴まれる。
「マリーちゃん。寝ちゃだめよ」
モモさんの声で目を覚ます。どうやらコックリいきそうになったみたいだ。
「ああ、モモさんありがとう」
「私たちは呼び捨てで、なんでモモだけさんづけなんだ?」
アナが問いかける。
「それは、モモさんだからだ!」
「訳わかんないわよー?」
サリーだ。不満そうだ。サリーさんと読んで欲しいのか?
「じゃあ、逆に聞くが、お前ら胸に手をあてて考えろ。お前らは敬称をつけられるような事を僕にしたか?」
「「うっ!」」
二人がはもる。
「名前を呼んでもらえるだけありがたいと思え!」
「はいはい、喧嘩しないの、次は体、両手をよこに伸ばして」
モモさんに言われるがまま、僕は両手を伸ばす。泡立てたと思われるタオルっぽいもので、全身をわしゃわしゃされる。目を瞑れば恥ずかしくないと思ったけど、あれは嘘だ。めたくそ恥ずかしい。
やばい、天国だ。そうだマハラジャだ。間違いなく僕は今王様だ。胸をぶりぶり洗われてる。優しい感触がこそばゆい。
ん!
「素手は禁止! ちゃんとタオルつかってくれ!」
「ばれたか……」
やはりアナだ。
「マリー立つんだ!」
アナが僕の手を握って立たせてくれる。
次は、下半身をわしゃわしゃされる。
「なんか、変な気持ちになるな……」
アナが呟く。頼むから変な気持ちにならないで欲しい。
「そうね、とてもぎゅーーってしたくなるわね!」
「モモさん勘弁して下さい……」
優しく優しく下半身を撫でられる。ゾクゾクしちゃうよ。
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