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 ドラゴンプリンセス 9


「ご主人様。この変な椅子。意外に座り心地いいですね」


 ウシオは椅子を気に入ったみたいだ。けど、背もたれが無いのはいただけないが、中々の座り心地ではある。けど、この良い感じの応接間もこの椅子があるだけで台無し、いや、底辺になっている。


「一つ貰えないか頼んでみましょうか?」


 ウシオは立ち上がって、椅子を持ち上げて精査している。ダメだ。性に目覚めたスケベ椅子に興味津々な少年にしか見えない。アウトだな。その前に、その椅子備え付けじゃなかったのかよ。さすがウシオ。岩の椅子をプラスティックの椅子みたく扱っている。


「悪いがそれはダメだ。その、なんだな、デザインが良くない。多分、街にも同じ形のものがあるが、よろしくない店に置かれてる」


「よろしくない店ってなんですか?」


 うわ、無垢が眩しい。親になって子供に性教育をするのってこんな気分なんだろな。僕はまだ親じゃないから逃げる。


「それは、後でサリーに聞け。使用法からしっかり教えてくれるだろう」


「うわ、マリーちゃん酷い。あたしも知らないわよ。こんなものの使い方」


 こんなものって言ってる時点で熟知してるだろう。けど、使用経験があったら嫌だな。使ってはみたいけど、マリーで使ったら即卒倒だろう。強くなりたい。


 そんなこんなで雑談してたら、ゴリ執事に呼ばれて部屋を移動する。ダイニングルームでテーブルには大皿料理が並んでいる。先にアビゲイルが座ってる。


「早く座れ。食うぞ飯」


 促されて僕らもテーブルにつく。


「「いただきます!」」


 食べ始めようとするが、目の前の取り皿がクソ重い。石でできてやがる。こんなん片手じゃ持てんて。他のみんなは普通に石のトングで石の皿に料理を取り分けて、石のカトラリーで食べ始めてる。ゴツい石のカトラリーも僕は片手じゃ無理だ。マリーがか弱いだけじゃなく、フォークや箸が大きさ以上に重い。どういう材質なんだよ。


「マリー様、取り分けて差し上げます。お好きなものを選んでください」


 おお、セバスチャン。見た目と違って気が効く男だ。僕に料理を取り分けてくれて、普通のお箸もくれた。


「ありがとう。セバスチャン」


 セバスチャンがキョトンしてる。


「あ、私の事ですね。どういたしまして。いつもと違う呼び名なので戸惑ってしまいました」


「ん、いつもはなんて呼ばれてんだよ」


「ガガリーンで、ガガとよばれてます」


「ん、セバスチャンじゃないのかよ?」


「冗談ですよ。執事の名前がみんなセバスチャンな訳ないじゃないですか。今後はガガと呼んでください」


 微妙に面白くない冗談言いやがって。けど、ガガも特徴的だな。レディーかよ。

 まあ、気を取り直して、一番美味そうな、やたらデカい骨付き鶏モモみたいなやつに手をのばす。これは手で食べるしかないな。鶏にしてはデカ過ぎるな。


「これ、何の肉なの?」


「ドラゴンです。ドラゴンステーキです」


「まじかよ。共食いじゃねーのかよ」


「冗談ですよ。大トカゲ肉のあぶり焼きです」


 笑えんな。けど、それでも共食いじゃないのかよ?

 



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