第七話 子鬼殲滅
「アクセル!」
アナが使ったのは、男の僕ことキラの得意な加速魔法だ。無詠唱だ、かなり研鑽をつんでるな。
剣を抜くと、アナは駆け出し加速した。
「ゴブリン共よ、わが剣の錆になるがよい!」
アナは口上と共に剣を頭上に掲げる。格好つけたがりだよな。
アナは瞬時にゴブリン達に近づく。奴らが反応し襲いかかる前に飛び込んで、まるで、時代劇の剣豪よろしくバッタバッタと切り捨てていく。
かっこいい!
変態なのに。
「それでは、いっきまーす」
見るとサリーが立ち止まり、ゴブリン達に手を向ける。
「ファイアーボルトシャワー」
アナの後ろをついて行ったサリーの手から無数の炎の矢が出現し、ゴブリンたちの頭上に降り注ぐ。これでまた数匹が動かなくなった。
20匹以上いたゴブリンは、アナの吶喊の後には、瞬く間に半数位に減っていた。残ったゴブリンは与しやすそうと踏んだのか、サリーに群がる。
「ばっちいからさわりたくないけど。しょうがないわねー!」
殴る! 殴る! 殴る! 殴る! 殴る!
サリーはゴブリンのきったない武器を擦らせることすらなく、近づくものをすべて殴り飛ばす。野蛮だなー……
よく僕は、コイツに勝てたな……
「モモ。そっちに行ったぞー」
アナが僕達に向かって手を振る。あらかた2人はゴブリンを刈り尽くし、残った3匹が歩いて来た僕達に駆け寄る。うち漏らしたのではなくて、わざとだろう。
「わかったわ。触りたくないわね。タイタン・ハンズ」
モモさんは、僕の手を離すと、スタスタ歩き始める。その左右には、手首から先だけの巨大な手が浮かんでる。その手が握りしめられ、近づくゴブリン3匹を殴り潰した。まるで、見えない巨人がそこに居るかのように……
えげつねー! 黒騎士化以外にもまだ特技があったとは……
僕と戦った時は、間違いなく手加減してたんだな。僕の予想通り、一番怖いのはモモさんだ。
「おい! なんかここに、魔法陣があるぞ。破壊する手伝ってくれ」
アナが大声を上げる。サリーとモモさんが駆け寄る。
2人がアナに近づくが、魔法陣がまばゆく光り始める。
「召喚系の魔法陣! 離れて!」
サリーが叫ぶ。
魔法陣から大きな黒い影が飛び出す。その大柄の黒い獣のような何かは、アナ、サリー、モモさんの順に襲いかかる。目で追うのがやっとだった。3人は、ふっとばされ、まるで、糸の切れた操り人形のように地に落ちていった。
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