ドラゴンプリンセス 7
ドラゴンはデカいのに器用に谷をすり抜け、小山を避けて走っていく。アビゲイルの事だから躓いたり、ぶつかったりしないかヒヤヒヤだったけど、杞憂でなんとか無事についてその巨体が止まる。目の前にはそびえ立つ絶壁。幾つもの亀裂がはしっている。ここが目的地なのか? 足は固定されてたけど、体は揺れまくりで少し気分が悪い。足が自由になって、乗った時と同じように浮遊して地面に降ろされる。なんかまだ地面が揺れてるみたいでクラクラする。他のみんなは問題なさそうだけど、相変わらずマリーは何にでも弱い。
ドラゴンは僕たちと距離をとり、縮んで黒騎士になり、その鎧が消え、さらしふんどしのアビゲイルが現れ、服を出して着る。どうやらサリーが着せた服は恥ずかしいって言ってたわりには、かなり気に入ってるようだ。
「こっちだ」
人一人やっと通れるくらいの亀裂にアビゲイルが入っていく。足元は岩だけど、よくみると他と違ってつるつるしてる。大昔の建物に入ると木の床や階段の木が長年の摩擦でつるつるになってるような感じだ。ぱっと見見つけにくいけど、探索系の能力を持ってる人から見ると一目瞭然なんじゃないだろうか? 暗く曲がりくねった道をしばし進むと上から光が差してくる。そして開けたとこに出ると息を飲んでしまう。大きなドーム状の岸壁に囲まれた空間で、はるか頭上には穴が開いている。そこから差し込む光が岸壁に彫られた建物を照らしている。瀟洒な細工を施した柱に飾りがついた窓。まるで古代の遺跡にやってきたみたいだ。凄い、どれだけの時間をかけたらこんなに岩に彫り込めるんだろうか? 広場の中央には噴水があり、まるで生きてるかのような岩で彫られたドラゴン数匹が口から水を吹きだしている。その水を湛える丸い泉、そのそばのベンチも同じ材質。一つの岩で出来てるみたいだ。そして、沢山の角と尻尾が生えた人々。広場の縁には露店が出ていて香ばしい匂いが漂っている。ヨーロッパの都市を連想するけど、海外の都市との違いは全く生活臭がしない。するのは焼き鳥のような良い香りだけだ。
「凄いだろ。ここが黒竜の谷の首都、ペトの街だ」
ペト? まんまじゃねーか。確か全世の岩の町の名前はペトラ。写真とかでしか見た事ないけど、一度は行ってみたいと思ってた。夢が叶った気分だ。それに、規模が凄い。四方八方が岩に彫られた建物だ。天井以外はほぼ彫られてる。壁の建物のテラスには洗濯物など干してあって、ここが生活に使われているのもなんか感慨深い。
「じゃ、俺の家に行くぞ」
その建物の中でも別格に入り口が大きな所にアビゲイルは向かう。
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