ドラゴンプリンセス 5
「なあ、お前の親父ってガリガリで髪の毛ボサボサで、きったねー髭のばした奴じゃねーのか?」
僕の消したい記憶の中の親父の容姿を言う。特に髭が最悪だ。小っちゃい頃にハグされて髭をこすりつけられた事があるが臭いなんてものじゃない。触れたとこにオシッコのようなゲロのような臭いがついた記憶は悪夢でしかない。そう、一番ふさわしい例えは、掃除してないゴミ捨て場の臭いだ。
「バカにしてるのか? 父上はそんな変な格好はしてない。見惚れるような肉体美に髭はいつも綺麗に剃ってる。髪型はトゲトゲな感じだ」
ん、やっぱアビゲイルと僕の父親は違うのか? ネズミ男の強化版のようや僕の親父とは別人なのか。良かった。ならアビゲイルと僕は血は繋がってないんだな。まあ良かった。いきなりちょっと変わった妹ができたかもって事で内心焦ってた。
「そっか、それなら良かった。けど、その格好で尻相撲はないな。サリー、部屋に連れてってくれ」
「りょーかい」
「なっ、なんだ?」
アビゲイルはサリーに引っ張られてウシオの影に引きずり込まれる。まあ、これでサリーが目の毒な格好から変身させてくれる事だろう。
「お待たせ」
しばらくしてサリーが出てくる。
ん、アビゲイルは?
「んもう、恥ずかしがってないで早く出てきなさいよー。あなた村のナンバーツーなんでしょ」
サリーが影に向かって言う。ピョンと影からアビゲイルが出てくる。おお、可愛いなー。ゴスロリ風のピンクのヒラヒラしたワンピースに、青いショートボブ。ウィッグかな? そう、誰かに似てる。そう、僕だよ。僕より少し背が高く、僕より少し胸が小さく、僕より少し目つきが悪い。
確信した。絶対アビゲイルと僕とは血のつながりがある。こんなに他人で似てるはずがない。
「おいっ。ジロジロ見るなよ。恥ずかしいだろ」
なんかモジモジしながらスカートを押さえている。デジャブだ。マリーになったばかりの時は僕もそうだった。可愛い生き物だな、おい。
「恥ずかしいもなんも、お前さっきまで尻丸出しだったじゃねーのかよ」
「いや、その、女の子みたいで恥ずかしい……」
顔が真っ赤だ。
「みたいじゃなくて、女の子なんだよ。シェイド、鏡もってきてくれ」
「はいはーい」
シェイドが部屋から全身鏡を持ってくる。手鏡くらいで良かったのに。
「えっ、これ、俺……可愛い……」
俺可愛いって……でもまんざらじゃなさそうだな。なんかこのままなし崩しで先に進めそうだけど、一応約束だ。
「アビゲイル、そこにそのまま立っとけ。いけサリー。レディ! ゴー!」
アビゲイルの後ろにサリーが立ってお尻でアビゲイルを押す。
「あっ……」
アビゲイルはさくりと動く。
「はいはい、僕らの勝ちだな、さっさと次への道を教えてくれ」
「ちょっと、ずるいだろ。俺、まだ心の準備ができてなかったのに」
「そんなんしるか。負けは負けだ。約束を守って貰うぞ。竜は言葉を曲げないんだろ」
「……わかった」
どうやら平和に先に進めそうだ。
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