吸血女王 3
「それにここって死体が手に入らないのよ」
ロザリーの目は普通になってるけど、言ってる事は普通じゃない。
「おいおい、ここじゃなくてもどこでも死体は手に入らんだろ」
「しらないの? わらわたちの城があったとこは古戦場だったから、掘れば掘るだけ死体が出てきてたのよ。塩になったけど」
それって塩にして正解だったのでは?
「ふーん。そうなんだ。けどさ、お前ら、ここにたくさんアンデッド準備してたんじゃないのか?」
「エキストラよ」
「エキストラ?」
「街の人たちを一日金貨一枚で雇ったのよ。二百人」
「ん、街の人? ゾンビの扮装でもさせたのか?」
けど、それなら、僕に浄化されたのはおかしい。
「違うわよ。秘薬、アンデッドポーションで、一日アンデッドになって貰ったのよ。ここなら死んだり浄化されてもリスポーンできるから、後遺症はないわ」
ん、ここなら後遺症ない? って事は普通に使ったらヤバいやつなのか? それで日当金貨一枚約一万円。安くないか? よく人集まったな。
「それで、お金が無いの。あなたたちを倒して貰えるボーナスをあてにして借金しちゃったのよー。だからお金ちょうだい」
こいつ、事あらばたかろうとするな。自分で稼げよ。
「なんで、お前にお金やらにゃあかんのだ」
「元はと言えば、あなたたちが城を塩にしたからお金がないのよ。わらわたちは小さな国一つは買えるくらいお金持ってたのよ。塩になったけど」
「その話はもう終わっただろ。なんで僕がお前が雇ったエキストラのお金を払う事になんだよ?」
「だって、あなた聖女でしょ? 人のために自分を犠牲にする高潔な者なんでしょ?」
「お前、人じゃないだろ」
「ひどいわ。ヴァンパイアも人も理性があるから同じようなものよ」
「まあ、とにかく働いて稼げ。お前ら有能なんだろ。金貨二百枚なんかすぐだよ。じゃ、頑張れよ」
「うう、またニワトリの血を飲みながら、不眠不休で内職の日々なのね。せめて、もっと稼いでブタの血くらいは飲めるようになりたいわ」
どうでもいいけど、ブタの血の方がニワトリの血より高価なのか。じゃ、もしかして牛の血は高級品なのかも。吸血鬼。可哀想な生き物だな。
床に座って泣いたふりしてるロザリーを置いて、僕らは次のエリアに向かう事にした。ロザリー、何しに来たんだ?
ロザリーの棺の裏の扉をウシオが押し開ける。強い風が吹き込んできて髪がたなびく。目の前には岩山。緑は一つも見えない。ウシオを先頭に扉をくぐる。ここは山の中腹みたいだ。僕らがいる小山を囲むかのように、幾つもの岩山が見える。赤茶色でいびつに聳え立つそれらには地層が縞模様をつくっている。グランドキャニオンとか、エアーズロックとかみたいだな。写真で見た事があるだけで行った事はないけど。
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