吸血女王 1
エビシが入ってきた天窓に小さな黒い影。そっちから声がした。ジグザグに飛び回っている。小さなコウモリだ。それを追っかけるように、十数匹のコウモリが入ってくる。コウモリの群れは円を描くように飛び回り、集まったと思ったらポップコーンが弾けるみたいに人型が現れた。吸血鬼の女王ロザリンドだ。
「ご機嫌麗しゅうフロウライン」
「???」
黒いレースフリフリのゴスロリ少女がなんか言ってる。
『フローライン?』たしか和訳は『動線』って意味だよな。何言ってんだコイツ。
「うわ、だっさ。あんたそれ言うなら『フロイライン』でしょ。それに、その言葉使ってる国じゃ死語らしいわよ」
サリーがツッコんでくれる。あ、そうだ。確か『フロイライン』ってドイツ語で『お嬢さん』って意味だったな。けど、さすがサリー。僕の知識をダウンロードしてるから知ってるんだと思うけど、僕より物知りだ。
「えっ、わらわ言ったもん『フロイライン』って」
「いーえ、確かにいったわよ『フローライン』って。あんた大丈夫? 浄化されたショックで記憶がぶっ壊れてるんじゃないの?」
「ちょっと舌の調子が悪いだけだもん」
「頭もね」
「うっさいわね! ピンク髪、ぶっコロス!」
ザシュッ!
斧を手にしたウシオが飛び出し、ロザリーを腰から両断する。さらに振り上げた斧を振り下ろすが、ロザリーはずれた腰を押さえながら後ろに飛ぶ。ロザリーが着地する前に弾丸のように飛び出したウシオの足が伸び、轟音と共にロザリーの上半身がぶっ飛び壁に当たり潰れる。
「ザコが」
さすがウシオ強い。この相手が見た目が可愛い女の子でも容赦しないとこがいい。僕だったら少しは躊躇してしまう。
「まってまって、戦う気はもうないわ」
ロザリーの立ったままの下半身が何か言ってる。どこから声出してんだろう? 潰れたように見えた上半身から数匹のコウモリが現れ下半身に飛んできて上半身が何ごとも無かったかのように再生する。ウシオの重心が下がる。
「待て、ウシオ、話くらい聞いてやろう」
「ご主人様、この下郎は、サリー様に不穏な言葉を吐きましたよ」
「ウシオくん、挑発したあたしが悪かったわ。頭がよくない人ってすぐ、『死ね』とか『コロス』とか言うけど、それって殺害予告じゃないからね。ただの罵倒語だから。ほら、そういう人って美味しいもの食べた時に『死ぬほど美味い』とかいうけど、自殺するわけじゃないから。だから、ウシオくんなら出来るでしょ。言葉じゃなくて実行してからやっつけるようにしてね」
「サリー様がそう言うなら。だが、ご主人様に粗相を働いたら許さんからな」
「わかったわよ。けど、わらわには物理はほとんど効かないんだからね」
「そうか、なら試してみるか? 私はお前が再生を諦めるまで切り刻んでやってもいいぞ」
「ウシオ、そんなのに構っても時間の無駄だ。おい、ロザリー、何しに来たか早く言え」
「うー、扱い雑すぎ。けど、しょうがないわね。負けたんだから……」
しょんぼりを全身で表現してるロザリーを見ると、少し可哀想だと思ってしまった。
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