ようかん
「開けてみるしかなさそうよねー」
サリーがコンコンと宝箱を叩いている。大きなバッグくらいの木箱で金属で補強してある。正面には鍵穴があり、僕の手には鍵。鍵と鍵穴を近づけて見比べてみるが、大きさ的にぴったりだ。ここには他には鍵穴があるものは見つかってない。
僕らは神殿に行き念入りに調べたら見るからに鍵って感じの鍵を見つけた。見つけたといっても、神像があからさまに首からかけてたんだけど。念入りに探ったけど、他にはめぼしいものは神殿には何もなく、次は洋館に戻って、その部屋を一つづつ虱潰しに念入りに探っていった。その途中、寝室の天蓋付きベッドの下から箱を見つけた。全ての部屋を探索して他には何も見つからなかったので、寝室に戻ってきた。
「そうだな。開けるしかないか」
けど、明らかになんかある。
「魔力は感じるけど、箱なのか、箱の中身なのかわかんないわ」
サリーがそう言うなら、僕らの誰にもわかんない。けど、マジで罠っぽいな。
「ご主人様、任せてください。罠で爆発したとしても、私が押さえ込んでなんとかします」
漢らしい事言いながら、ウシオが僕から鍵を取る。こういう時に困るな。やっぱり冒険には盗賊系のスキルを持つ人は必要だ。RPGと違って実際の冒険では戦闘はやる事の一部でしかない。日本に居ても戦闘能力が高かったとしてもそれが役に立つ事がほとんど無いのと同様に。確かに僕らは戦闘には長けている。けど、こういう宝箱に罠があるか調べたり、鍵穴を開けたりとかは不得手だ。誰かそういうの得意な人いたかなー。まあ、ここに居ない時点で今は考えても無駄だな。
「悪いがウシオ、頼む」
「任せてください」
ガチャッ。
躊躇いなくウシオが開ける。箱の中にはビニールっぽいものに包まれた黒っぽい長方形のもの。
「羊羹?」
僕はそれに手を伸ばす。さすがにもう罠は無いだろう。柔らかい感触、うん、羊羹だ。ビニールの包装紙の裏には紙が貼り付けてある。無機質な字が書いてある。
『ようかんで食べなさい』
ギリッ。
イラッとしてわつい奥歯をかみしめてしまった。羊羹を投げ捨てようとしてしまうが止まる。誰がやったのかわかんないけど、羊羹には罪はない。やっぱ羊羹にはお茶だろう。
「その羊羹から魔力を感じるわ。多分食べたら何か起こるわね。けど、食べなさいって書いてあるって事は、食べないと先に進めないって事よね」
サリーが言う通りだ。シェイドが腕を組んで呟く。
「洋館で羊羹をようかんでたべる」
あーあ、やっちまったな。僕もサリーも踊らさせるのがしゃくで敢えて触れなかったのに。シェイドは純粋だからしょうがない。しかもシェイドは笑っている。少しツボにかすったみたいだ。
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