眠り姫
「もうすぐよ」
エルエルは柱の横をズカズカ歩いていく。人が入った柱の間を八枚羽根の天使が通っていく様は判断に迷う絵ずらだな。もしこの場面だけを見てる人がいたら、SFなのかファンタジーなのか迷うだろう。部屋の中はSFの宇宙船の内部っぽいのに、エルエル、大天使は幻想的でファンタジーそのものだ。そんな益体もないことを考えてると、エルエルが一本の大きな柱の前に止まる。
「ついたわよ。女王から、あなたにこれを見せるようにって」
大きな柱の中には少女が立っている。両手を胸の前で組んで目を閉じていて、まるで何かに祈っているようだ。僕は言葉を失ってしまう。その姿から目を離せない。
「マリーちゃん?」
サリーが呟く。その氷柱に近づいてまじまじ見てる。ウシオとシェイドもそばに寄り無言で眺めている。
僕は体が動かない。
なぜならその柱の中にいるのはマリー、僕が女の子になった時に瓜二つ、いや、マリーそのものだったからだ。
「いや、違うわね」
サリーが氷柱に顔を触れんばかりに近づけて言う。
「マリーちゃんより、少し幼いし、胸が少し小さい」
僕もその少女の胸を見るけど、わかんない。自分で自分の胸をまじまじ見たことないからな。
僕たちはその氷の中の少女を観察する。来ている服は神官衣に見えるけど、僕が見たこと無いものだ。白と薄い青でなんか巫女さんの服みたいでもある。髪は暗めのブルー。マリーと一緒だ。青髪の人はここでは一般的に少なめだ。知り合いには居ない。
「十分に見た?」
エルエルが言う。
「それでこの人は誰なんだ?」
「私は本当に誰か知らないわ。女王から、あなたたちに見せるよう指示されただけよ。知ってる事は彼女は死んでいて、女王が大切にしてるって事」
「訳がわかんないな。なんでマリーにそっくりなんだ?」
「私もわかんないわ。けど、マリーに似てるって事はマリーの親戚なんじゃないの?」
母さん、父さんには兄弟両親は居ない。二人の両親は死んだって事だったけど、もしかして、この娘は僕のお婆ちゃんなのか? いや、子供産むにしては若すぎるだろ。けど、この世界ではめっちゃ若いお母さんもいるわけで、それに種族的にずっと若く見える可能性もあるわけで。
考えても答えは出ない。
「女王に直接聞くしかないな。エルエル、次のエリアに案内してくれ」
なんか、心が乱れ、このエリアから早く離れたい。エルエルは墓標って言ってるが、本当になんか墓地にでもいるような気分だ。
「じゃ、もう何もないから、戻るわよ」
またあの長い階段を戻るのか。下りより登りはきつそうだ。なんかショートカットできないのか?
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