魔道炉
僕らはゆっくりと階段を降りていく。疲れたとかそういうわけじゃなくて体が重い、そしてなんだか熱くなってくる。空洞の下に大きな飯釜みたいなものが見える。その中に赤く光る液体、さらっとした溶岩のような感じだ。テレビでしか溶岩は見た言葉ないけど。
「あの、赤いのはなんなんだ?」
エルエルに聞いてみる。
「あの魔道炉の中の溶岩みたいなの?」
「うん」
「あれは、高密度のエネルギーの塊、液体に見えるけど、実際は気体なのよ。集めた空気中のマナ、あと、地水火風の力、要塞に降り注いだ太陽の光も金竜の鱗で集めてるわ、あと闇の力も。まあ、私は聞きかじっただけだから、そこまで詳しくは知らないけど、要は、あれは様々なエネルギーをぐっちゃぐちゃに混ぜて溶かしたもので、変換してここの浮上する動力や兵器に使ってるそうよ」
エルエルは振り向かずに応える。嫌われてるなー。でも本気で嫌われてるなら、返答しないよね。
「ちょっと聞いていい?」
サリーが尋ねると歩きながら振り返る。
「あのエネルギーのメインはなんなの?」
「空気中のマナと、太陽光らしいわ」
「けど、動かないなら、空気中のマナは薄まるんじゃないの?」
「この要塞は閉鎖空間ごと、世界中の空を移動してるのよ」
エルエル、あんまり詳しくないって言ってるわりには何でも答えるな。
「そうなのね。じゃ、移動にも使えそうね」
「それは無理よ、女王が要塞を閉鎖空間から出す事はないわ」
そうなのか。まあ、でも足に使う気はしないし。墓標って言われてるからなんか気持ち悪いし。
魔道炉の隣を降りていく。その巨大な炉からは材質不明な幾つものチューブみたいなのが壁に伸びている。かなり熱くて息苦しい。けど、それより下に行くと幾分ましになってきた。空洞の底に着き、またそこから今度は岩壁に囲まれた螺旋階段を降りていく。小部屋に辿り着き、その先には縁取るように装飾が施された両開きの扉がある。それにエルエルが触れると開き、中には大小様々なガラスの柱みたいなものがある大部屋。急に寒い。ガラスの柱みたいなの中央には影。よく見ると生き物だ。エルエルが入るのに続く。ガラスの柱に見えたのは氷だ。生き物は二足歩行のものばかり。ゴブリン、オーク、トロール等の魔物。いや、エルフ、ドワーフ、様々な獣人もいる。
「ここは種族の保管庫。生きたまま氷の柱に閉じ込めてあって、解除の魔法で蘇生するそうよ」
歩くエルエルが言う。
「魔物系は捕獲したものだけど、人種、理性がある人は志願者しかいないそうよ。人と子をなせる者を余す事なく収集して、種の絶滅を防ぐために作られたそうよ」
ここは墓標って言うから死体なのかと思った。けど、不気味なのには変わらない。柱の人たちは目を閉じているが今にも動き出しそうだ。着ている服は様々で見たことなあようなものもある。
けど、種族の保管庫って、誰がなんのために作ったんだろう? それに志願者って何があったらそんなのに志願するんだろう?
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