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 階段


 半透明な大きなチューブみたいなのに包まれた階段を降りていく。チューブを触ってみると微妙に弾力がある。アクリル、プラスチックとかのような感じだ。多分、階段を踏み外しても死なないようにだろう。今までこの建物は微動だにしてないが、もし戦いとかになったりしたらかなり揺れるのかもしれない。その安全策なんじゃないだろうか? それにしても長い階段だ。チューブスライダーみたいな形してるから、階段外して滑って行ったが早いんじゃ? 多分、前世合わせても世界一長いチューブスライダーになるんじゃないだろうか? けど、そうしたら戻って来るのが地獄だな。どうでもいい事を考えながら降りる。階段、飽きてきた。


「で、どこに向かってんだよ」


 そう言えば、行き先聞いてないよ。なんか建物に圧倒されてたからな。


「下層の一番奥に向かってるわ」


 エルエルが振り向かずに言う。下層の一番奥? 何があるんだ? そう言えば、なんでコイツ歩いてるんだ? 飛べるよな? その邪魔な翼は飾りか。


「お前、なんで飛ばないんだ?」


「キラさん、キラさん」


 サリーが服の裾をクイクイする。


「ここ、魔法系が一切使えないわ。結界に閉じ込められたような感じ」


 ん、そう言えば外にはマナを感じるけど、チューブの中は希薄、いや、流れを感じない。サリーの言葉にエルエルが振り返る。なんか待遇が違うな。まだカンチョーひきずってるのか?


「封印じゃなくて、この中を守ってるのよ。この空洞の中央には魔道炉、マナを集めて変換してる大きな窯みたいなものがあって、それから漏れ出るマナが有害なのよ。だから、深層近くはマナの流れを阻害して通さない物質で通路を守ってるわけ。私たちは多分どうって事ないけど、普通の人なら魔物になったり、獣になったりするわ」


「おいおい、外部のマナを長期間過剰摂取すると、体が変質して魔物のようになる事もあるっていうのは聞いた事あるが、獣にはならんだろ。人が猫や犬になったりするのか?」


「キラさん、例えよ。例え。理性が無くなって獣みたいになるって事じゃないの?」


 サリーはそう言うが、僕だってわかっている。歩くの暇だから上げ足とってエルエルをからかってるだけだ。


「そう、理性が無くなって動物みたいに心を制御出来なくなるって意味よ。多分、あなたなんて、回りの目を気にせず私に襲いかかってくるわ」


「ないない、それはない」


「何よ、あなた、私に魅力が無いって言うの?」


 エルエルはこっち向いて、前かがみして胸の谷間を見せつけてくる。グラビアアイドルみたいだ。チラ見して目を逸らす。


「それ以前の問題だろ。お前、強すぎるだろ。魅力より、暴力を感じるわ」


 うん、その胸は暴力的すぎる。


「それより、早く行こう。日が暮れちまう」


「なによ、あなたからふっかけてきたんじゃない。じゃ飛ばすわよ。ついてきて」


 エルエルは走り始める。僕らもそれについていく。


 読んでいただきありがとうございます。


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