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 第五話 逃亡


 僕は出来るだけ音を立てないように通路を歩く。両手で兜を固定して視界は確保している。僕自身はほぼ重さがない状態なので、気をつければほぼ物音を立てずに歩ける。多分迷宮の特性上、通路では誰とも遭遇しないはずだけど、もしものためだ。


 通路の壁はレンガを組んだかのように隙間なく長方形の石が組んであり、等間隔で壁についた燭台のようなオブジェに魔法の灯りがついている。


 このアルゴノートの迷宮はトレーニング目的なだけあって、いままで通った所には彷徨うモンスターがいなかった。

 部屋に入ると召喚魔方陣からモンスターが発生する形で、部屋から全員出たらモンスターは消える。その特性が有難い。ここは何層かは分からないけど、ルールは同じみたいだ。


 1番有難いのは部屋の入り口で魔力感知ディテクト・マジックを使ったらその部屋にモンスターが出る出ないかが解るのだ。これで、戦闘は最小限に抑えられる。どうしようも無いときは、さっき手に入れた『ホーリーライト』の魔法で目くらましして逃げるのみだ。


 この階層では、上手くモンスターのいる部屋は通らずに上への階段を見つけた。


 上りながら考える。ここはまだ未踏部分が多い迷宮だから、他のクランも精鋭の冒険者を派遣しているはずだ。うまくそのパーティーに頼み込んで合流できたりしたら、安全に帰還できるだろう。階段で誰か来るのを待つという選択肢もあるが、ここまで誰かくるのはいつになるのか解らない。まあ、少なくとも、地下10層付近になれば複数の冒険者に会えるはずだ。今は慎重に進むのみだ。


 通路を歩き、部屋を確認して、戦闘を避けて進む。そう上手くいくものでは無く、どうしても魔力反応がある部屋を通らないと先に進めなくなる。選択肢は二択あり、大部屋か小部屋。小部屋より、大部屋の方が逃げやすいだろうと思い大部屋を選んだ。


 まっすぐ部屋の中央を進む。扉は対角線にあり直進が最短距離だからだ。


 おかしい、魔力は感じたのに何も起こらない。もしかして召喚魔方陣ではなくて、違うものの魔力を感知したのだろうか?


 部屋の中央に差し掛かった時に、足下に一つの魔方陣が浮かんだ。召喚魔方陣だ。そしてその隣にも隣にも……。

 連鎖して螺旋状にどんどん魔方陣が現れる。数十、いや百近くあるのでは?


「まずいっ! グラビティ・ゼロ」


 僕は重力をできる限り減らし出口に駆け出す。


 召喚魔方陣からは無数の武装した人間の体に豚の顔のついたモンスター、オークが発生した。


 モンスターハウスだ!


 噂には聞いた事がある。部屋に入ると無数の魔物が現れるというデストラップ。見るのも体験するのも初めてだが、よりによっていまの状態で体験する事になるとは……


「ブキー、フゴフゴ!」


 そばにいた奴が僕に遅いかかってくるが、難なくかわす。今まで欠かさず訓練してきたから、避ける事くらいは造作ない。


「ホーリーライト!」


 閃光を放ち、オーク共の目を焼いてやる。動かなくなった奴らをかわして前に進む。けど、オーク自身が壁になって、後ろの奴には効果無い。ならば!


「グラビティ・ゼロ!」


 僕は跳躍して重力を消して宙に浮かぶ。


「僕を見ろ、豚共!」


 大声で叫ぶ。全ての豚共が僕を見た。血走った目が気持ち悪い! 僕は目を閉じる。




「ホーリーライト・マキシマム!」


 注ぎ込めるありったけの魔力を込めたスペシャル版だ。


 豚共は目をおさえてうずくまる。重力を戻して着地する。


豚八艘ブタはっそう飛び!」


 僕は豚共の頭を足場に重力操作しながら出口に向かって跳び進む。技の名前はいにしえの伝説の侍の技にちなんだ。


「うわっと!」


 豚が僕のズボンの裾を掴んだ。目が見えて無いはずなのに、ラッキーヒットか? ベルトが外れズボンが脱げる。その下に穿いてたパンツもだぶだぶだったので一緒に脱げる。最低だ下半身丸出しだ……


 なんとか体勢を整えて、豚を踏んで出口へ向かう。



 読んでいただきありがとうございます。


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