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 堕天


「それで、お前、なんで堕天したのか思い出したのか?」


 僕はエルエルに尋ねる。昔なにかの本で読んだ事がある。話が上手な人は相手に上手く話させる人だって。話し上手なのに話させる。なんか矛盾してるような気もするが、それで会話が円滑になるならよし。だから自分語りさせるために振ってみた。あと、堕天の理由に僕は関わってないはずだから、その理由の相手、多分光の側の神の誰かにヘイトを向けさせて、カンチョーへの怒りを反らせれば儲けものだ。


「そりゃ、思い出したわよ。天使がどうしたら堕天すると思う?」


 質問で返すなよ。サリーが即座に応える。


「心の底から神に反感を持った時でしょ」


「まあ、そんなとこね。だから、堕天使と言っても、神々と袂を分かっただけで、邪悪って訳じゃないのよ」


 ん、自分は邪悪じゃないっていいたいのか? よし、するぞゴマ。


「それは知ってるよ。お前を見てるとわかるよ」


 緑の瞳で僕を見てる。緑の目、そう言えば母さんの目も緑だ。それにしても整った顔だ。若い北欧系の美少女みたいだ。という事はコイツは太り易いんじゃ? から揚げ沢山食べさせたら、デブベルみたいになるんじゃ? それより、ベルのデブ魔法をかます方が早いか。


「で、私が堕天した理由よね。あれは遠い遠い昔。私は神世界の書庫の管理人をしてたわ。書庫の蔵書は増える一方だから、その管理人は増えていく。私は五人目の管理人として生み出されたわ」


 サリーが皆にコーヒーのおかわりを注ぐ。エルエルはドカドカ砂糖を入れてる。そりゃもう砂糖水なんじゃ? 太るぞ。


「そして、ある日書庫で、先輩管理人の一人が私の主様に詰め寄ってるのを見て咄嗟に隠れたの」


 エルエルは遠くを眺めてる。その目には天界でも映ってるのだろうか?


「先輩管理人の名前は『エル』私の姉さんにあたるわ。そのエルが主様に『なんで、あの娘の名前はエルエルなんですか? エルとは神聖なって意味、それが二つって事は、私より神聖って意味ですか?』って聞いたわ。それで、主様は何て答えたと思う? 『あいつはデカいからエルエルってつけただけだ。そういう事は考えてない』って。私は一瞬何の事を言ってるか理解できなかった。けど、その意味がわかった時には地上にいたわ。堕天って簡単にできるのね。最後に姉さんが『じゃ、私のエルって意味もなの!』って叫んでたのが聞こえてたわ。けど、今ならわかるわ。多分主様は姉さんの気を悪くさせないために冗談言ってたんだと思う」


 ひでぇ神様だな。乳のサイズで名前つけるなんて。エルエルは冗談と思い込もうとしてるみたいだけど、確か神様って嘘をつけないって話が多いような。けど、という事はまだどこかに『エル』と言う名前の堕天使がいるかもしれないって事か?


 読んでいただきありがとうございます。


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