堕天使
「開かないわねー」
サリーとシェイドとウシオで扉を押してるけど、びくともしない。非力な僕は当然見てるだけだ。
森をぐるりと一周したけど、木とウシオが落ちた池くらいしかなく、生き物の気配もしない。鳥すらいなく、なんて言うか、森なのに都会の緑一つ無いとこにいるような感覚だ。城には一つの大きな扉があり、そこから入れるみたいだ。上に飛べばバルコニーみたいなものもあるから入れるそうだけど、やっぱりこういうのって正面から入るべきだろう。この城は一応人の家のようなものだから、泥棒みたいにコソコソ入るのはなんか気がひける。まあ、それにせっかくだから城の中もどんなものか見てみたいし。
ウシオも押して開かないって事はなんか魔法的なもので守られてるのかもしれないな。
「ぶっ壊しますか?」
ウシオの手には斧が握られてる。
「いや、いいよ。多分中に誰かいるだろうからそのうち開くよ」
ここは木が生えてなく、大部屋くらいの広さがある。机出して茶でもしばこうかなって思ってたけど、いきなり空が暗くなる。みるみるうちに空が曇る。ん、雨でも降るのか?
「マリーちゃん。来るわ」
サリーが僕の手を握る。心なしかしっとりしている。僕も感じている。空気が変わった。雨が降る前に気圧が変わるような感じだ。気のせいか頭と体が重い。
僕らの前に日の光が射す。上を見ると曇の切れ間から陽光が洩れている。ご神光、ヤコブズラダーとか呼ばれてるやつだ。ん、雲の切れ間に点? いや、人だ。ヒラヒラした服を着て金色の髪をはためかせながら光の筋の中をゆっくりと降りてくる。あ、天使、違う堕天使だ。一瞬その荘厳さに見とれてしまったけど、すぐに興味を失った。遅いよ。まだリカちゃん人形くらいの大きさしかない。まあ、確かにマッハで落ちてきたらそりゃ逆に興ざめだけど。
僕らはテーブルを出して座ってコーヒーを嗜む。まだ遠い。相変わらず残念な奴だな。ていうか、あいつ暇なのか? 退屈じゃないのか? 何考えてるんだ? 何も考えて無いんだろう。
やっと近づいてきたよ。なんかパンツみたいなものも見えてるよ。またカンチョーが欲しいのか? まあ、僕もあの時の苦痛は酷かったからもうやらないけど。少しだけモミのゴールデンフィンガーの魔法が頭をよぎったけど、僕は死んでもあんなクソ魔法は使わない。
「人の子よ。これより先に進みたくば、わらわに力を見せ……って、あんたたちシカトしないでよ。ちょっとはなんかツッコみなさいよ」
「突っ込むって、またカンチョー欲しいのか?」
「コロスぞ。こんガキゃあ!」
「ほら、カリカリしないで、お前もコーヒーでも飲めよ」
「え、いいの? かたじけない」
あらかじめ奴の分の席とコーヒーも準備してやった。あんま暇だったので、サリーとシェイドとウシオは漫画読んでる。どこから引っ張ってきたんだ? 堕天使エルエルは椅子に座ってカップを手にする。ミルクと砂糖をチラチラ見てるから、取って目の前に置いてやる。手がかかる奴だな。
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