島に向かって
「なんで……そんな事を……」
つい、言葉が漏れてしまうが、その理由は少し考えればわかる。この世界には飛行船はあるけど、飛行機はない。空飛ぶ竜と戦う時に一番問題になるのがどうやって制空権をとるかだ。飛ばれてこっちの攻撃が届かないとこからブレス吐きながらダイブされると一方的に蹂躙される。けど、逆にこっちがドラゴンより上空に上がると立場が逆転する。
そもそも戦わなけりゃいいのに。竜を倒すためにその素材を集めヘイトをかい、さらに戦いは泥沼になってった事だろう。知恵がある者同士、話し合えば譲歩しあえば絶対に講和できるはず。
「そう、なんでなのかよね」
サリーが僕の後ろから答える。サリーも浮けるのにずっとくっついたままだ。背中に当たるものはできるだけ意識しないようにしてる。
「そういう事したら、竜と人のどちらかが絶滅するまで戦う事になるはずよね。今は竜族は、人々と交わらないように暮らしてるそうだけど、もし、こんなものが空を飛んでたらまた戦いになるわよね」
ここはどういう構造になってるのかわかんないけど、精霊女王の作ったものだ。もしかしたら女王はこの要塞を封印してるのかもしれない。サリーはそう言いたいんだろう。僕らが前に見たのは迷宮都市が攻め込まれてたのと関係あるのかもしれない。
目の前の要塞が近づいてどんどん大きくなってくる。黒い基底部の上には蔦のようなものでびっしり覆われた城壁があり、木々が生い茂る森に囲まれて昔見たバベルの塔の絵みたいな城がそそり立っている。その城もびっしり植物に覆われている。近づくと、要塞自体がゆっくりと回ってるのがわかる。だから満遍なく植物が育ってるのかずっと日陰になるとこが無いから。
「ご主人様ーっ!」
ウシオが手を振って叫んでる。相変わらず規格外だ。あんなとこから良く声届くな。ウシオがいるのは開けたとこで大きな水たまりに囲まれてる。浮島? 僕らはそこに急いで向かう。
「大丈夫か?」
「問題ないです。どうやら空の下と上が繋がってるみたいで、何回か島の横を通り過ぎて、この湖に吸い込まれるように落ちてきました」
ウシオはずぶ濡れだ。収納からタオルを出して渡す。そういえば上下左右空しか見えないのは空間がねじれてるって事か? なんでもありだな。
「じゃかなりのスピードで落ちたんじゃないか?」
「いえ、それが多分下から上に移動する時に一瞬止まってましたので、あの城より少し高いとこから落ちたくらいでしたよ」
普通それは死ぬよ。さすが僕のウシオ。まあ、僕らもずっと落ち続けてたらここにやってこられたんだろうけど、どっちにしても普通の人なら落下をコントロール出来なかったら死んでスタートに戻らされてたって事だよな。ゲームバランス悪すぎだろ。昭和のマゾゲーかよ。
「それでご主人様、ここはどこなのですか?」
ウシオにサリーが説明する。僕は高くそびえる城を観察する。
「多分、あの城の中に次のエリアの入り口があるんだろうけど、せっかく来たから色々見てからいこ」
まずは城を囲んでる森を見て回ってから城の入り口を探してみよう。
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