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 乱入SS バレンタインウィズエルブス


「食うべきか? 食わざるべきか?」


 僕はカフェのテーブルに置いている小箱を凝視してる。肩が凝るので乳も置いている。

 今日はバレンタイン。女の子が意中の相手に愛を囁く日。けど、僕も今は女の子なのにな。男状態のキラより、女の子のマリーの方がモテるのは納得いかないが事実なので、マリーで過ごしている。

 この小箱はサリーが僕にくれたものだ。中身はチョコレートだと思われるけど、安全なとこで1人で食べるようにって言われている。


「マリー。受け取るのかしら」


 お店に入るなりベルが同じような小箱を差しだす。どうでもいいけど、なんで僕はいつも捕捉されてるんだろう? 多分魔力のお蔭なのか? ベルは最近は太る事なく華奢な体型にアンニュイ系の表情を浮かべ、長いシルバーの髪をドリル無しのツインテールにしてる。最近巷で流行りのハイエルフキャラに寄せてるんだろうか? まあ、けど、似合ってて可愛くはあるな。

 僕は微笑み小箱を受け取る。


「グラビティ・ゼロ」


 手にした小箱の重力をカットし、カフェの隅のゴミ箱目がけてぶん投げる。おお見事にインした。


「ひどいんじゃないかしら。ベルがこの日のために一生懸命作ったのに」


「じゃ、お前が自分で食えよ。どうせ中身はアンブロシアなんだろ」


 アンブロシア、ベルが魔法で作る一応食べ物ではあるが、見た目まんまウ〇コでクソまずい地獄な食べ物だ。なんでバレンタインにウ〇コみたいなもの食わにゃあかんのだ。罰ゲームかよ。そもそも受け取って中身を見ても捨てるわ。


「なんでわかったのかしら? もしかして魔法? 透視系の? それとも精神魔法? 思考を読まれたのかしら?」


「そんなの見んでもわかるわ。胸に手を当てていつもの己の行動を振り返りやがれ」


「ぺいっ」


「アウチッ! クソガキがッ!」


 事もあろうか、奴はテーブルに置いた僕の乳を上から潰しやがった。痛ぇ

涙でてるよ。


「ぶっ殺す!」


「マリーが胸に手を当てろって言ったのかしら」


「ざけんじゃねーよ。おどれのまな板に当てろってゆーたんじゃい!」

 

「ほぅ、やる気なのかしら。もっと泣かせてやるのかしら」


「ちょっとー、あんたたち何騒いでるのよ。他のお客さんの迷惑でしょ」


 ゲッ。一番会いたくない生き物が……

 ギルドの受付嬢のモミだ。モミのくせに僕らに説教してやがる。けど、なんでこんなとこに? しかもその手には琥珀色の液体を湛えたジョッキ。半分以上減ってる。こいつ制服なのに仕事中じゃないのか? よくクビになんないな。


「何それ? チョコレート? 私にくれるの?」

  

 奴は小箱をヒョイと掴むと梱包されてリボンついたまま口に放り込んだ。酔ってる。間違いなくよっぱらってる。今時どんな汚れ芸人でもそんな事せんぞ。くっちゃくっちゃかみ締めてる。


「飲み込むな! ちゃんと中味だけ食えよ。動物なのか?」


 ブッ!


 小さく丸まった小箱と包装紙だったものを地面に吐き出す。きたねーなー。


「エルフは森や木を愛してるのよ。紙だって木で出来てるから一緒よ。ん、キタ。キタキタキターッ! 体が暑いわー!」


 モミはシャツのボタンを上から二つ程引き千切ると、手にしたジョッキを煽って空にする。嫌だいつの間にか僕らは注目の的だ。店員さん、コイツを店からたたき出してくれよ。


「マリー! 勝負よ。今日はバレンタインだから、ラブラブチュッチュデスマッチ! 先に相手にチューした方が勝ちよ!」


 なんだそりゃ? 勝っても負けてもモミとチューしてるじゃないか? 確かにモミは美人さんではあるが、それは勘弁して欲しい。


「やってられるか、ばーか! グラビティ・ゼロ!」


 僕は自重をゼロにして大空に飛び立つ。間違いなくモミはさかってた。サリーのチョコレートはやっぱりアンブロシアだったのか。酩酊催淫効果つきのサリースペシャル。下を見ると、カフェではモミとベルが争ってるように見える。もうエルフやだ。

 けど、バレンタインは始まったばかり、まだまだ気を抜くとやられかねない。僕は明日を無事に迎える事はできるのだろうか?

  

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