元の世界
石で舗装された道を進むとすぐ森は草原に変わる。前に来た時は草原の中に階段の木があったのに、今回は階段の木は森の中にあった。短時間でこんなに木が伸びる訳無いので、このエリアは何らかの配置替えがあったんだろう。頭の上に煌々と耀く太陽。迷宮の中なのにここはどうなってるんだろう?
「少し休むか」
僕は足を止める。
「そうね、あそこの木をシェイドの部屋のホストにしましょう」
サリーに連れられて丁度人くらいの大きさの木のところまでいく。そして、その影の中に僕たちは入っていく。シェイドの部屋は異世界のようなもので、影を入り口にする事が出来る。その影は人より大きいものなら何でもいいみたいだけど、生き物だとその視界をスクリーンに映す事が出来るから基本的には生き物の影を使う事が多い。ちなみに夜はどうなるかというと、そのホストのもの半径2メートルくらいが入り口になる。
僕たちはシェイドの部屋で冷たいジュースを飲む。なんかいつの間にかシェイドの部屋は様々な家電が増えている。冷蔵庫、洗濯機、掃除機、エアコン。よく見ると部屋にはコンセントもあるし、パソコン部屋まである。
「そう言えば聞くの忘れてたけど、いつの間に電気通したんだ?」
「マリーの母ちゃんから買った」
シェイドの答えは少しズレてるけど、要は母さんが協力したって事か。と言う事は間違いなく母さんは僕の前世の世界に行き来出来るって事だな。前世の事は明確には覚えてないけど、あんまりいい思い出はない。帰ってみたいとは思うけど、こっちの暮らしも悪くは無いもんな。けど、漫画やアニメやゲームが無いのはつまんない。読みかけていた漫画の結末も知りたいし、今、前世の世界がどうなってるのか興味はわく。もっとも、あっちの世界では確かに死んでしまったので、行ったら不法滞在者にはなると思う。
「マリーちゃん、マリーちゃん戻って来て」
サリーが僕を揺する。ついつい考え込んでしまった。
「ゴメン、サリー」
「どうしてたの? 目が死んでたわよ。何をそんなに考え込んでたの?」
「いやー、前世の事考えててね。この電気や電化製品は間違いなく僕の前世の世界のもの。母さんは僕の前世の世界に行き来出来るんだなって」
「もしかして、マリーちゃん帰りたいの?」
サリー、ウシオ、シェイドが僕をじっと見つめている。
「帰るもなにも。僕が帰るべきところはここだよ。ただ、行ってみたいなってね」
「良かった。元の世界に帰りたいのかって思った」
「そんな訳無いだろ。みんなに囲まれて僕は幸せだよ」
僕の笑顔にみんな笑顔で応えてくれる。
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