第四十三話 1対1
やばい! 気が遠くなる。一瞬気を失った気がする。鼻血は止まらんし、グングニルは覚醒したままだ。絶対的に血が足りない。
「だいぶ疲れてきたようだな。本当は、正々堂々戦いたかったのだが、これはゲームではない。命のやりとりだ! 悪く思うなよ! 全力でいかせてもらう!」
何が正々堂々だ! だまし討ちしようとしたくせに。あと、いつ命のやり取りをした?
アナは、箒を両手で構える。金色の光が体から溢れ、服が透ける。小振りだけど形のいい胸の形がよくわかる。あと、横縞のショーツも透けている。
ありがたいことに、透けてはいるけど、大事なものは見えてない。布地のおかげだ。それでも、僕には刺激が強すぎる。早くなんとかしないと。
しばし対峙する。くやしいが、正直こいつは綺麗だ。まるで天使や女神にしか見えない。けど、残念なことに、完全変態だ!
「じろじろ見るな! 変態がっ!!」
気分的に変態には変態っていわれたくないものだ……
アナは低めの構えから箒を突き出す。今まで三つに分かれていた穂先は、二つにしか分かれない。さすがに彼女も疲れてきたのだろう。
それをかろうじてかわす。両手が塞がっているのが痛い。
出来るだけ間合いを取ったのだが、すぐには追撃がこない。
彼女はサイドステップしてから、また、攻撃に移った。
あ、そうか、僕の鼻血を踏みたくないのだな。
よく考えろ。
どうやったら切り抜けられるか?
勝利条件はここからの離脱。ここを離れれば、もう追っては来ないだろう。
仲間二人を置いてく事は出来ないはずだ。
跳躍して、打ち落とされなければ僕の勝ちだ。
そのためには加速魔法が必要だが、離脱できるくらいの魔法は今はあと一回しか使えなさそうだ。
アナの攻撃を避けながら考える。
まずは、グングニルをしっかり押さえ、思考を逸らすことでロンギヌスに戻すそうと思う。まずは両手をどうにかしなくては。
ありがたいことに今は尿意が少し治まっているが、これも何時までもつかわからない。
静まれグングニル!
心を研ぎ澄ます。
「いつまで、両手を使わない気だ!」
アナが怒鳴る。
彼女はしこたま汗をかいてて、服が体に張り付いている。しかもだんだん金色の光が強くなってきて、さらに透けている。
なんか、色々見えそうだ。
やばい!
せっかく静まりかけたグングニルが……
静まれグングニル!
静まれグングニル!
「静まってくれ!!グングニル!!」
つい、叫んでしまう。
無意識的にグングニルを持つ手に力が入る。
「お前、なにやってんだ? 股間をいじって?」
いかん、そういう風にも見える。
「も、もしかして、男子はそういった行為をするって聞いたことがあるわ……」
アナは、顔を真っ赤にする。
やっぱ、エルフ系だ、頭いたくなる……
「違うわ! そないなことするか!」
ついつい突っ込んでしまう。いかんこれじゃ相手を調子に乗らせてしまうだけだ。
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