冒険者登録所
扉をくぐると、石造りの長い通路が左右に伸びている。壁には一定間隔おきに燭台が設置されていてそこそこに明るい。壁にはには様々な型の扉があり右手の突き当たりには扉、左手の突き当たりには何も無い。けど、行くべき所は分かる。右手の突き当たりの扉には看板に文字が見える。
「扉のラビリンスね」
「そうだな。まずは僕の収納部屋へのマップつくらないとな」
来た扉を閉じて取りあえず僕の名札を扉に押し付ける。
「マリーさん、何してるんですか?」
エリーが尋ねる。
「マップつくってるんだ」
エリーとケリーに扉の迷宮の仕様を教える。
「なんかえげつないね。それって知らないと無理ゲーなんじゃ」
ケリーが言うとおりだ。マジでこれ考えたの誰だろう?
「まあ、けど、今回リーダーしてるやつは迷宮都市初めてじゃないから大丈夫なはずだよ」
そう言えば、収納の中に前に手に入れたマップが入ってたからあとで取りに行くか。そして僕たちはサリーを先頭に突き当たりの扉へ向かう。
『冒険者登録所』
看板にはそう書かれている。なんか懐かしい。
「こちらは、迷宮都市冒険者登録所です。只今、職員不在により、御用の方は奥の呼び鈴を鳴らしてください」
ドアを開けて入ると、前にも聞いた音声案内が流れる。もう迷宮都市は外と繋がってるはずなのに誰も居ないな。
教室くらいの部屋に黒いベンチが並んでいて、奥にはカウンターがある。床は硬質の素材でなんか日本の病院みたいだ。なんて言うか、間違い無く迷宮都市には現代日本の影響が見受けられる。今度精霊女王に会えたら聞いてみたい。
真ん中の通路を通り、受付と書いてあるカウンターにある呼び鈴をサリーが鳴らす。チーンという高い音がする。
「お待たせしましたっ!」
すぐにカウンターの奥の扉から女性が走ってくる。緑色の髪に緑の目。メイさんだ。塩山で犬神家してたメイさんだ。世界樹で出来た生きてる勝負下着をつけてたメイさんだ。美人さんだけど、なんて言うか親戚のお姉さんみたいで全く微塵も女性として意識出来ない。やっぱ犬神家か……
「あ、こんにちはメイさん」
僕は挨拶する。けど、一昨日くらいにメイさん見たような。ウシオ狙いみたいだけど、これってショタになるのかな? ウシオ一応中等部だし。
「マリーさん、あとサリーさん。どうしたんですかぁ? あ、私に会いに来たんですね」
「違うわよ。まあ、説明は後にして、この2人に登録の説明書お願い」
サリーに言われて、メイさんはキリッとした営業顔に戻る。
「どうぞ、お掛けになられて下さい」
僕たち四人はカウンターの前に座る
「今日は冒険者登録希望ですよね?」
「「はい」」
「ここで冒険者登録していただくと、この迷宮都市では、モンスターを倒した時のドロップアイテムや宝物などの買い取りをして貰えます。ここでも買い取りしています。商店とかでも買い取りしてくれますが、他ではここより買い叩かれます。それにここで登録していただくと、ラビリンスブレスレットというアイテムを差し上げてます。これを装備すると、色々な特典を享受することができます。その特典は、もしこの迷宮都市で命を失ったとき、神殿で生き返ることができます。とは言っても、前に神殿に行った時の状態に戻る事になります。その間に手に入れたものや記憶は戻りません。あと、その代わり所持金がゼロになります。迷宮の中にいくつかのセーブポイントという所があって、そこに入ると教会じゃなくそこからスタートできます。お金をキープしたいなら、お金をラビリンスカードに入金すると、減るのは半分ですみますよ。あ、あとお金が1ゴールド無い状態で亡くなられたら教会に埋葬される事になります。埋葬された者は10ゴールドで復活させる事が出来ます。まあこんな所ですね。なにか質問がありましたらどうぞ」
なんかいつもはフンワリしてるけど、メイさん仕事中は有能そうだ。聞きたい事は色々あるな。まず何から尋ねるか?
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




