収納の小部屋
「お前、動けるなら、最初から挨拶なりなんなりしろよ。びっくりしただろ」
「あ、びっくりしました。ずっと動けないふりしとこうかなって思ってたんですけど、なんかお困りみたいだったですので」
アニ声がキンキン耳が痛い。声が高いパペットマンは初めてだ。女の子なのか? その前にコイツら性別あるのか? 見た目は全く一緒だし。
「じゃ、お願いがある。もう少し棚片付けてくれないか。あ、後でいいよ」
動き始めるパペットマンを止める。その前にここはどこで、どうやったら出られるのか確認しないと。
「ねぇ、あなた。ここはどこなの?」
サリーが4号に尋ねる。おお、心がシンクロしてる。
「あん、知らねーよ。自分で考えな」
答える4号。なんか声低くなってるし僕に対するのと全く態度違うぞ。
「なぁ、4号。ここはどこなのか?」
「ここはですね。マリー様の魔力によって作られた収納の中の世界です」
「どうやったら出られるの?」
サリーが再び問いかける。
「出られねーよ。デブ。のたれ死にな」
なんかガラわりーな。サリーに恨みでもあるのか?
「おい、お前、解体されたいのか?」
サリーの口調も変わる。いつも話すのはゆっくりなのに早口だ。キレたな。
「解体? お前が私を? 面白すぎる冗談ね。へそで茶がわくわよ」
「ぶっ壊す!」
重心を落として飛びかかろうとするサリーと4号の間に入る。
「待て、サリー。4号、なんでそんなにサリーに喧嘩腰なのか?」
「当たり前じゃないですか。私はここでずっと見てました。この雌猫がマリー様にいろんなちよっかいを出すのを。私たちのマリー様につく変な虫は全て排除します」
「え、見てた? 全部?」
「はい、ここから、ずっと。マリー様がこの収納を手にした時から」
「…………」
え、あんな事や、こんな事、全部見られていたのか。やばい、意思とは関係無く顔が熱くなる。
「そ、そうなのか。でも、お願いだ。サリーと仲良くしてくれ」
「まぁ、マリー様のお願いならしょうが無いですね」
なんか変な話になる前に戻そう。
「それで、ここから学校に戻る方法は無いのか?」
部屋には僕たちが来た扉しかない。教室から続いているのもここだけだ。コイツなら何か知ってるはずだ。
「そうですね。いつもはマリー様が指定した場所とここを繋いで物のやりとりをしてたのですけど、ここにマリー様がいるので、ここと繋げるのがここという、訳が分からない事になってます。せめてマリー様が来た所に何らかのサインがあれば繋げるのですけど」
そんなもの無いな。
「そうか、じゃあ、どっか違う所に繋げないのか?」
「そうですね。ここと迷宮都市を繋ぐ事は出来ますけど、私は迷宮都市の門番でもあります。例えマリー様でも私を倒せるくらいの実力が無いなら通せないですね」
そうか、薄々そんな気はしていたけど、迷宮都市と繋げられるのか。
「じゃあ、繋げてくれ。お前を倒せばいいんだな」
まあ、こんな瘦せっぽちのゴーレムくらいなら僕でも倒せるだろう。
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