穴にはまった少女
時間は少し遡って。
「マリー、そう言えば、マリーの魔法の収納っておっきいわよね。ちょっと入り口開けてみて」
面白くもない一発芸を見て、なんとなく少しの興味でベルは口を開く。ちなみに彼女は何も考えてない。
マリーは教壇の横の中空に黒い穴を空ける。魔法の収納の入り口だ。
(やっぱり意外に大っきい穴ね。もしかして人もはいるんじゃ?)
考えたベルの目にマリーが入る。
「マリーも入るかしら?」
そう言った時にはベルの体は動いていた。まるで野生動物よろしくしなやかな動きでベルはマリーを捕まえると、躊躇う事無く頭から穴に突っ込もうとする。
「うわ、止めろベルッ!」
マリーの抵抗虚しく、その体は穴に押し込められる。
そして、腰から下だけ中空に浮かぶ少女が出来上がった。
教室は水を打ったかのように静かだ。誰も何が起こったのか理解出来てないのだろう。それにマリーの腰から上は無く、その断面は真っ黒でなんていうか不気味だ。
そして、その下半身は足をバタバタさせる。
「はい、みなさん、マリーの一発芸、いや、隠し芸に拍手! まあ、上半身しかかくれてないけどね」
静寂に我慢出来なくなったベルが口を開く。けど、みんなノーリアクション。マリーの下半身に目が釘付けだ。
そして、その目の前で、マリーのスカートと足が無重力空間にいるかのようにフワリと浮く。もう何が何だか見ている方は分からない。ただ不気味だ。
「ベル! マリーちゃんになんて事するのよ」
サリーがマリーに近づいて、その腰にしがみつく。やっとマリーが収納に突っ込まれたのを理解したみたいだ。
そして、その怪力でマリーの腰を引っ張る。けど、抜けない。
ビリッ!
布地が裂ける音がして、サリーは尻餅をつく。その手にはマリーのスカートが……
虚空に浮かぶJKの腰から下の下半身。しかもパンイチ。可愛いフリフリの見せパンが風に揺れている。まるで、ランジェリーコーナーの下半身だけのマネキンみたいだ。
「三年殺しっ!」
呆気に取られているサリーの目の前でベルが放つ強烈なカンチョー。マリーの体がビクンと大きく跳ねる。
「何やってるのアンタ!」
サリーはベルを引き離す。
「合わせて六年殺しっ!」
疾風迅雷、マリーの下に滑り混みながらアナが更にマリーに一撃放つ! 再びマリーの体が大きく跳ねる。そして痙攣し始める。ギャラリーのクラスメイトたちは目の前で何が繰り広げられてるのか理解が追いつかない。G組の猛者達ですら、目の前で女性がパンイチの女性にカンチョーを放つなどという亀毛兎角驚天動地な出来事に目を奪われている。決して高校の授業中に起こり得る事じゃない。
「アナも何やってるのよ!」
サリーはドヤ顔のアナを引きずり放す。
ガラッ!
扉が開いて現れるのは、赤毛の少年。
「ごっ、ご主人様?」
主人のピンチの波動受けて駆けつけたウシオにも何が起こってるのか分からない。多分浮いてるお尻がマリーだと思って近づく。
『この恨みはらさでおくべきか……』
クラスの何人かの魔法能力が高い者の心に明らかに怨嗟の声が届く。
「ヤバイわ! 来る! 来るのかしら!」
ベルは一目散に逃げようとする。彼女だけはマリーのマナのスタンピートをいち早く察知した。
「おい、ベル、何が起きてるんだ?」
目聡くウシオがベルの首根っこを引っ掴む。
そして、マリーの腰を起点に膨大なマナが光と共に溢れ出し、教室の全てを包み込んだ。
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