収納の入り口
「うおおおおおおおおおーーーっ。いってーーーーっ!」
誰だ! クソがっ! さらに一撃加えやがった! コロス! 絶対コロス! この恨みはらさでおくべきかっ!
僕の頭に浮かぶのは見目麗しいハーフエルフ。サラサラの金髪に青い目の涼しげな顔。普通だとその容姿には心惹かれるんだと思うけど、僕には殺意しか湧かない。公衆の面前で、いたいけな少女に手加減なしのカンチョーを放つヤツなんてアイツしかいない。
なんで僕がこんな目にあわないといけないのだろうか? パンツ丸出しで空中に固定されて、さらにカンチョーされる。何の罰ゲームか? クラスメイト全員が見ていると思うと恥ずかしいって言葉では足りない。良かった。
オートヒールで、回復しているのを感じる。なんとかお尻は大丈夫だ。けど、どうやってこの状況を抜け出すか? 耳を澄ましても何も聞こえない。助けを呼んでも収納の中に生き物は居ないだろう。収納の中に入れてるものを思い出すが、ここで役立つようなものは無い。服と食べ物ばっかだ。この収納の入り口をなんとか広げて抜け出すしかない。この魔法の収納は母さんから貰ったものだけど、物を出し入れするときには僕の意思で穴を開いたり閉じたり出来る。だから僕の意思でもっと穴を大きく出来るはずだ。
僕は目を閉じて魔力を練る。引っかかったウエストの所に手を当てる。うえ、気持ち悪ぃ。腰から下が無い。そう言えばそういう都市伝説の妖怪いたよな。キチキチ? ムチムチ? 名前が思い出せない。そんなのどうだっていい。収納の入り口に手を当てて魔力を注入する。
広がれ!
広がれ!
もっと広がれ! 僕の穴!
いや、僕の穴はおかしいだろ。なんか変な開発しているみたいだ。お尻の穴はまだズキズキするし……
いかんいかん。このAVやエロマンガみたいなシチュエーションが僕をおかしくしているのだろう。
雑念を捨てて、また集中する。穴に変化はみられない。足りない。まだ足りない。心を魔力を爆発させるには。母さんの魔法の収納。多分母さんの膨大な魔力によって作られたものだろう。それに干渉するためには一瞬だけでもそれを超えないといけない。僕の魔力はかなりのもののはず。けどまだ母さんには届かないのか?
『とっても強い感情は魔力を向上させる事もあるわ。もっともそんなに強い感情を維持は出来ないから一時的ではあるけどね』
僕の頭に昔母さんから聞いた言葉が蘇る。
今、僕の心に渦巻く強い感情を呼び起こす。
「クソアナがっ! ひとのケツほじりくさりやがって! 絶対ぶっ殺ーーーーーす!」
僕の怒りの叫びが魔力と共に荒れ狂う。闇の中に僕の腰からほとばしる光。
そして光は膨れ上がり僕を飲み込んで広がる。
やった! 多分やった!
目は眩んでいるけど、ドサッと僕は地面に落ちる。
「やったーっ! 穴をでっかく出来たぞーーーっ!」
床に膝立ちで僕はついガッツポーズで魂の叫びをこだまさせた。
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