第六話 獲物
「ご主人様、お手数ですが獲物が大きいのですこしついてきていただけないでしょうか?」
僕達は立ち上がりウシオについて行く。ウシオが大きいという言葉を使ったのに少し違和感を感じる。こいつが大きいという表現を使うって事は文字通りハンパ無くデカイのだろう。少し嫌な予感がする。
僕達が部屋を出ると、問答無用で黒ベルがサリーに襲いかかってくる。予定調和だ。
サリーは奴にみかんを1個放り投げる。黒ベルはどんくさそうにみかんを野球のお手玉みたいに取り落とすが、拾って皮ごと食べる。猿なのか? いや間違いなく猿以下だ。
「おい、ベル! みかんは皮をむいて食べるものだぞ! それに、落ちてるものを躊躇いなく食べるなよ!」
ついつい黒ベルとベルを同じものと認め声をかけてしまう。そういえば、黒ベルは野獣だったな。
「そんなの当たり前かしら! ベルはレディなんだから!」
振り返ってベルを見ると、目が泳いでいる。多分こいつは今までみかんを皮ごと食べてたのではないか? 野生児か?
そうこうしててウシオについて行くと、沼が見えて来た。黒ベルもスキップしてついて来てる。くんなよ!
「ご主人様、こいつです!」
ウシオは沼に入ると何か巨大なものを水の中から引きずってきた。パッと見なにか分からなかったが、よく見ると、太さがウシオと同じ位ある細長いウナギのようなものだ。見たところ頭は落とされてるようだ。僕達はその大きさと異様さに驚き、しばし声を上げるのすら忘れていた……
「ご主人様! 巨大なウナギを捕まえました!」
ウナギ?
ウシオはその巨大な黒い細長い物体をたぐってどんどん引きずり上げる。デカイし長すぎるだろ、何なんだその物体は?
足!!
余り大きくない鳥のような足がついてる。ウナギって足ついてたか? 気持ち悪いな。
どんどんウシオがその物体をたぐっていくと、後ろの方にも足がもう2本ついていた。なんなんだ? 足のついたウナギや蛇がここには生息するのか?
僕は近寄って触りたくないのを我慢して泥を落としてみる。そいつにはびっしりと鱗が生えている。うん、多分間違いなくウナギじゃないな。
「う、ウシオ、こいつの頭はあるか?」
多分頭を見ればこいつが何なのか分かるはず。物知りのサリーもいるし。
「ウナギの頭は毒があるって聞いたような気がしますが、一応とってありますよ!」
ウシオが深い所まで行き、水中から何か出して掲げる。
「「「ドラゴン!!」」」
みんなの叫びがハモった!
ウシオが掲げているのは、中国風の細長いタイプのドラゴンの頭だった!
しかも恐ろしくデカイ!
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