第三十八話 荒野の戦い
「お前のような変態は、わが剣と、この黄金の認識票に賭けて野放しにしておけぬ」
アナだ。わが剣に賭けてとか言ってるが、どこにも剣は無い。兜を外したのは始めて見た。荒野を吹き抜ける風が金髪のサラサラヘアーを靡かせる。今日は普通の小綺麗な村娘のような服装で、首には金の認識票が光ってる。
正直、美人さんだけど貧乳だ。のぞく耳が心なしか尖っている。ハーフエルフだったのか、と言うことは半分変態って事か。やはりアナは僕の敵だったのだな。
彼女は、竹箒みたいなやつを両手で持ち、正眼に構える。あれは、間違いなく僕のロンギヌスの天敵だ。刺されたらめっちゃ痛そうだ。
「うわー、おっきー!」
アナの後ろから、僕のロンギヌスをガン見している少女。サリーだ。ピンクのネグリジェにピンクの髪の背の低いロリ巨乳だ。可愛い系で、愛らしい。同じく金の認識票だ。魔法の杖みたいな物を持ってる。
「キャッ! 初めて実物を見ました。あんなになってるのですね」
巨乳のサリーの横で、両手で顔を覆って指の間から、僕のロンギヌスをチラチラ見ている少女。モモさんだ。白に赤の花柄の甚平を着て、黒髪ストレートだ。かなりの美少女と言えるだろう。胸元は少し開いていて、程よい大きさの形のいい胸が服の上からでもよくわかる。間違いなく美乳だ。
あのあと、三回ほどジャンプして、どうにか町を出た。当然、会う人会う人に親父の名前をアピールしまくった。大事をとって更に何度か飛び、岩山の陰に降り立った。
そこで、何かが砂煙を上げながら近づいてくるのに気づいた。必死な形相で女の子達たちが駆けて来たので、なんかトラブルなら力になろうという、勇者ソウルで待ってて今に至る。自分の今の格好を完全に失念してました……
3人とも、肩で息をついている。汗で顔の所々髪が張り付いてる、のみならず服も湿気って所々透けて見える。多分、彼女らも、モミのアパートに住んでたのだろう。着の身着のまま僕を追っかけて来たみたいだが、せめて、下着位は付けて来てほしいものだ。アナはショーツだけ、他の2人は間違いなく服の下になにも付けてない。そんなに僕のロンギヌスを見たかったのだろうか?
「そこまで頑張って、そんなに私に逢いたかったのかな。そう言えば自己紹介がまだだったかな。私の名前はクレイジー仮面。正義の使者だ」
イケボを意識しながら、僕は身をよじり最高のポーズを披露する。普段の僕なら絶対出来ない芸当だ。
「お前に逢いたいわけ無いだろ変態が!」
アナが怒鳴る。その変態に興味を深く持って、ここまで全力でついてきたのは誰だ?
「私は、すこし興味あったかなー、とってもおっきーって聞いてたしー!」
サリーは、すこし顔を赤らめる。
「私も、すこしだけ……」
モモさんは相変わらずチラ見してくる。顔は真っ赤だ。むっつりなのか?
「そんなに見たいのなら、苦労しなくても、君たちなら、そこら辺の男性に頼んだら、喜んで全てをさらけ出してくれると思うぞ」
「何言ってやがる! そんなこと出来る訳ないだろ。変態がっ」
アナの会心の箒の突きを、後方宙返りでかわす。アブねー、ロンギヌスまっしぐらだった。
「君は、私を変態というが、君たちも、似たようなものでは無いかな? 冷静になって自分の格好をよく見てみるんだ」
最高のポーズで、ビシッと彼女たちを指差す。やっと自分たちの格好に気づいたのか、3人とも顔を真っ赤にする。やはり、エルフ系はおばかだな。
「そんなことどーだっていい! おまえ達、あいつをぶちのめしてしっかり鑑賞するぞ!」
そして、やっぱりアナは変態だ。
そして、僕たちの熱い闘いの幕が切って落とされた。
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