第三十七話 天空の覇者
それで、今からどうしよう。
僕は空を流されながら考える。眼下には、いろんな建物が見える。下からは僕は鳥にしか見えないはずだ。かなりの高度をとってるので。
とりあえず、服を着たいが、固定してない今の状態では、収納から取り出すのはむずい。
クレイジー仮面=僕と誰にもばれないように、かなり遠くで変身を解こう。と言っても、顔のパンツをとって服を着るだけだが。
そしてそのあと、また町に入り飯を食おう。かなりお腹がすいてる。結構散財したから、ギルドで仕事も受けたい。キラ・シドーである今の僕なら、なんでも出来るはずだ。
けど、一番解決しないといけない問題がある。
僕がなんで女の子になったのか?
どうやって男に戻ったのか?
それが判らないと、また、たやすく危機に陥る事になる。
何かのきっかけで、女の子になり、何かのきっかけで戻ると考えてみる。
今まで、女の子になった事が無いのに、急になったと言うことは、今まで体験したことがない事がトリガーになってるのではないだろうか?
けど、母親は、僕の服のサイズまでぴったり知ってた。
と言うことは、多分、寝てる時にでも変身させて、採寸したのだろう。ここに来る前、親父にぶちのめされて、三日程寝込んだときが怪しい。
今ある情報では、女の子になる条件が解らない。解らない事は、解らない。とりあえずそれについて考えるのは保留にしよう。
男に戻る条件について考えてみる。寝て起きたら戻ってた。けど、寝るのが条件ならば、風呂場で気を失った時にも戻ってたのでは?
もしかしたら、時間経過?
考えて見るが、これも断定出来ない。
要はまた変身するかもしれないという事だ。今出来る事は、そのとき困らないように準備することだ。一番困ったのは服! 早めに多めに購入しよう。
あと、モミの事はどうしよう。マリーと僕が同一人物と気づいただろうか? モミの側から考えると、マリーと寝てたら気がついたらパンツ被った男と寝ていた。正直僕がその立場だったら、訳がわかんないと思う。今度会ってそれとなく聞いてみよう。
なんか、この町に来てほとんどエルフと戦ってた気がする。今後は、エルフを見たら、すぐに臨戦態勢をとるようにしよう。
ブルルッ!!
困った事に、おしっこしたくなってきた。体を冷やしたからだろう。ここでぶちまけるのは、人として終わってる気がするので止める。もしかしたら、誰が見てるかも分からないし。
とりあえず、何回かジャンプして、人気のない所に行こう。僕は重力を操作して、地上に向かった。
地上に降りると、また人混みだった。
ごついモヒカンが可愛らしい少女の首筋に包丁みたいなのを押し当てている。それを遠巻きに人垣が出来てる。
あ、これよくある奴だよね、古い演劇とかでよくみるシーンだ。
おしっこしたいけど、こんな楽しそうなこと見過ごせない。難点はこの格好だ。
「この娘の命が惜しければ、金と馬車持って来い!」
モヒカンが叫ぶ。やれやれまたモヒカンかよ……
「あいつは、コロシアムのチャンピオンで、多くの挑戦者を殺してきた奴だ! もう駄目だ!」
モブAが叫ぶ。丁寧な説明ありがとう。
シュタッ!
その前に僕は華麗に降り立つ。
「キャアアアアアアアアッ!」
悪漢に脅されても悲鳴を上げてなかった気丈な少女が、僕を見て悲鳴を上げる。複雑な気持ちだ。
「なんだぁ、お前は? 変態か?」
モヒカンがじろじろ僕を見る。特に股間。
「私の名前は、クレイジー仮面! またの名を天空の覇者ケン・シドー!」
とりあえず親父の名前を出す。これで皆、クレイジー仮面は親父だと思ってくれるはずだ。ゴメン親父、可愛い息子のために代わりに変態になってくれ!
「アクセル! ファイブ!!」
漏らしそうなので急ぐ。モヒカンは、泡を吹いて倒れ、僕の腕には、少女がお姫様だっこで抱かれてる。
「へ! 変態!!!」
少女も、泡を吹いて倒れる。安心したのだろう。そっと地面に寝かせ、僕は飛び立つ。
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