第四十五話 迷宮都市のゲート
「おかしいな、魔力の回復が遅いな?」
あと少しで感覚的にキラになるはずなのに、そのあと少しが回復しない。迷宮都市の中ではなんか感覚がおかしい。太ったお陰で、僕はぱつぱつのワンピースを着てる。少し苦しい。
あの、悪夢のような黒ベルとの邂逅のあと、僕はシェイドの部屋でシャワーを浴びて着替えてきた。服はぽっちゃり時代のサリーの服だ。もしもの時のために取ってたそうだ。助かった。
「ぶーのマリーちゃんもかわいい!」
目があったら、唐突にシェイドの姿をしたサリーが抱きついてくる。今日はこれで行くみたいだ。当然もう服は着てる。
次はゲートのマップを持って進んでる。子供のおもちゃと思われる鍵だ。これが、大金貨10枚の価値と思うと、少し腹が立つ。今まだサリーが外に出てるのは、宮殿エリアでなく、石壁エリアに今いるからだ。多分、黒ベルが出現するのは、宮殿エリアだけだろう。他では見ていない。
扉をくぐる、通路を歩くをしばらく繰り返すと重厚な鉄の扉についた。押してみると、意外にも軽く簡単に扉が開いた。
中は石造りの広間で、奥の方の床には無数の魔方陣が床に書いてある。見たことあるような気がする。そうだ、学園の迷宮の転移室にそっくりだ。前にはデッサン人形を等身大にしたもの、パペットマンが1体立ってる。
「ここになんの用でしょうか?」
パペットマンが近づいてくる。
「ただ、見に来ただけだ」
「そうですか、今は外の世界との出入りを禁止してます。魔方陣への魔力の補充をカットしてるのですよ。いつもでしたら、場所に応じた通行料を払ったら、いろんな所に瞬時に行けるのですよ」
まあ、使えないと聞いてたので落胆はしなかったけど、パペットマンがいたのはラッキーだ。多分マップをいくつか持ってるはず。
「僕の名前はマリー。お前、会ったことあるか?」
こいつらの区別は僕にはつかない。母さんの知り合いなら、もしかしたらマップをくれるかも?
「はい、お会いしたことありますよ。少し見ない間に太られましたね、食べ過ぎは良くないですよ」
「余計なお世話だ! それより、なんかマップくれ!」
よく喋る奴だな。単刀直入、ダメもとでストレートに聞いてみる。
「いいですよ。予備ありますから」
お、ラッキー! パペットマンは僕に指輪を2つくれた。
「こちらは、露天風呂です。あと、こちらはベル様の寝室です」
「ありがとう」
僕はパペットマンの手を握る。まじ嬉しい! ベルのは要らないけど、露天風呂はでかい。あの露天風呂は魔力の回復効果があるから、男に戻れる!
「助かった! なんか困った事あったら、いつでも言ってくれ! じゃ、サリーいくぞ!」
僕は露天風呂のマップを手に、ゲートの部屋を出た。
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