第四十二話 受付のお姉さんを遊びに誘いました
『こちらは、迷宮都市冒険者登録所です。只今、職員不在により、御用の方は奥の呼び鈴を鳴らしてください』
部屋に入ると、ゆっくりとした女性の声が聞こえてきた。声の通り、誰もいない。
学校の教室位の部屋で、ベンチが並んでいて、奥にはカウンターがある。病院の待合室みたいだ。受付と書いてあるカウンターにある。呼び鈴をならす。チーンという高い音がする。
「お待たせしました!」
しばらくたつと、カウンターの奥の扉から女性が現れた。緑色の髪で、痩せぎみであるけど出るとこは出ていて、迷宮都市で出会った中ではトップクラスの美人さんだ!
「あの、ここに来るのは初めてで色々教えて欲しいのですけど……」
「どうぞ、お掛けになられて下さい!」
僕とシェイド? は勧められて椅子に座る。
「冒険者登録希望の方ですね?」
「はい」
「ここで冒険者登録していただかないと、この迷宮都市では、モンスターを倒した時のドロップアイテムや宝物などの買い取りをして貰えないんですよ。それにここで登録していただくと、ラビリンスブレスレットというアイテムを差し上げてます。これを装備すると、色々な特典を享受することができます」
受付のお姉さんは、そう言うとにっこり笑った。
「まずは、お姉さんは彼氏はいるのですか?」
素晴らしい笑顔に咄嗟に僕は問いかける。ここしばらくで僕が一番変わったのは、積極性だ!
色んな所に裸ないし、裸同然で放り込まれて、度胸的なものがついたんだと思う。
昔の僕は物怖じして言いたい事も飲み込む事が多かった。けど、今は違う!
「マリーちゃん、何言ってんのこんな綺麗な方が彼氏いないはずがないじゃない!」
シェイドの姿のサリーが僕の服をくいくい引っ張る。もしかして、僕と心がシンクロして、サリーもお友達になりたいと思ってるのか?
「彼氏、いません……ここの職員、女性多いですし、ここに来る冒険者の方は、一回来たらもう来ることないですし……」
とたんに、受付さんの顔はどんより曇った。
「そうなのか、ウシオ出てこい!」
「はい、ご主人様!」
ウシオは僕の影から飛び出して来た。早い! これは絶対スタンバってた。さすがウシオだ、僕にいつでも呼ばれていいように常に気を払ってたのか。
「今、どこから出てこられたのですか?」
受付さんの目がきらきらしてる。ウシオは格好いいからな。
「それは、まあ、後でにして、サリー、シェイドは?」
「シェイドは寝てるみたい。今日はこの格好で過ごそうと思うから、シェイドと代わるときは言うからね」
今日はシェイドの事はサリーと呼ぼう。褐色の肌に緑のツインテ、これはこれでいいな。それはおいといて。
「お姉さん、こいつはウシオと言って僕の兄弟のような者だ。今日この後仕事終わったら4人でどっか遊びに行こう。ちなみに、仕事終わるのは何時?」
「17時だけど?」
しゃあ! ゲットしたぜよ!
はい、敬語外れました。心が近づいた証拠だ。お姉さんは美人で仲良くなりたいというのもあったけど、迷宮都市のジモティーの友人が欲しい!
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