第三十七話 不毛な戦い
「あの、お仕事中すみませんが、すこしお時間いただけないでしょうか?」
僕はウェイトレスの姉ちゃんに銀貨一度枚握らせる。なんて無駄なお金なんだ……さっきのコーヒーの方がまだましだ。
「なんですか?」
ウェイトレスさんは、緑色の髪でとても美人さんだ。正直今から頼む事を言うのにはばかられる。けど、こんなしょうも無いことは早く終わらせたい。
「実は、私の連れの少女2人が口論になりまして、その内容がどっちの胸が綺麗かということで、お手数ですが、見分して優劣をつけてほしいのですよ……」
「え、その2人、頭大丈夫? よっぱらってるの?」
「まあ、普通、そう思いますね……」
「けど、チップもらったからいいわ。どこにいけばいいわけ?」
僕はウェイトレスさんを個室に連れて行く。
「うん、競うだけのことはあるわ! どっちも素晴らしかった! 甲乙つけがたいけれど、強いていうならば、桃髪のほうね、大きいのに垂れてなくとっても綺麗だった。私が男だったら、ぜひ嫁にほしいわね!」
ウェイトレスさんはうっとりとしてそう言うとお仕事に戻って行った。
僕は個室に入る。
「勝者!」
すこし溜める。
「サリー! 1ポイント」
「おっしゃあ!」
サリーが喜びの声を漏らす。僕は次の審査員を求め外に出る。
次は泉のふちに座って本を読んでたエルフの女性に声をかける。
「え、何それ、あたしが胸がないからって馬鹿にしてるの?」
「いや、違います。本当にただ純粋に勝負に協力して欲しくて」
「いいわ。あなたが嘘をついてるようには思えない。ただし、あなたの胸をすこし触らせてくれるならいいわ」
え、なんで僕の胸を触らせにゃいかんのだ?
やっぱりエルフはすこしおかしいのか?けど、貴重な協力者だ仕方ない。
「はい、少しだけなら、いいですよ!」
エルフの女性は僕の後ろにまわる。
「ヒヤッ!」
僕の胸にひんやりとしたものが滑り込んでくる。直接きやがった! エルフはしばらく僕の胸をもみしだく。通行人のおっさんと目があったり、遠くでおばさん達が僕を見てひそひそ話をしてたりする。ここは町の中心部、そこそこに人が通る。僕はなぜこんなとこで晒し者にならにゃいかんのだ!
涙がでそうになる。しばらくしてエルフは満足して、個室に連れて行く。
「2人とも素晴らしかったけど、やっぱり一番はあなたね! まさにモンスター! 最高よ!」
「あの、今の2人のどっちか選んで欲しいのですけど……」
「それなら、銀髪の方ね! 私達をはるかに凌ぐ美貌に、この世のものとは思えないような素晴らしいプロポーション。けど、ナンバーワンはあなたね! もしよかったら家に来て、母や娘にも揉ませてあげたいわ!」
僕は丁重にお断りして個室に入る。
「勝者、マリー!」
「え、マリー姉様も参加するのですか?」
「そうね、マリーちゃんには敵わないわ!」
リナとサリーがショックを受けた顔で僕を見る。
「参加してたまるか! 審査して貰う代わりに僕の胸を揉まれたんだよ! それで、次点、リナ!」
「イェイ! じゃ1勝!」
リナの顔が華やぐ。そんなに嬉しいのか?
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