第三十五話 精霊の森
「なんで、あんたがついてきてんのよ!」
サリーがリナにめっちゃガン垂れる。ヤンキーかよ。
「ふん! あなたこそ、孤児院でシェイプアップでもしとけばいいんじゃない? 特にお尻」
リナがサリーを鼻で嗤う。おお、韓流ドラマみたいなバトルが生で見れるのか! コップの水をかけたり、唾ふっかけたりが見られるのか?
僕たちは暇つぶしで草原エリアにあるという、精霊の里に向かってる所だが、僕の右腕にはサリー、左腕にはリナがひっしとしがみついている。僕たちからすこし離れてウシオがついてきている。
2人の柔らかいものが僕を攻めてくる。こいつら絶対わざとだろ!
2人とも僕が男って知ってるしな。
「なぁ、2人とももっと仲良くしてくれないか?それと、あのー、胸あたってるんですけど!」
「「あててるのよ!」」
2人がハモる。
仲良しさんかよ!
むー、僕が男だったら美少女をはべらせてる幸せな奴に見えるだろうけど、今は、仲良し美少女3人組にしか見えないだろう。それか百合の3角関係か?
道は森に入る。なんかそこはかとなくいい香りがして、とてもリラックスして癒される。木漏れ日を浴びながら僕は歩くというより連行されていく。なんと言うか、嬉しくはあるのだけど、2人の胸がことあるごとに僕に触れて、正直頭がチカチカしてきた。特に森に入ってから攻撃が激しくなってきた。うす暗いからか?
「すみません、そろそろもう勘弁して下さい。胸があたるのは正直僕には刺激が強すぎます……」
「リナ、だってよ、今すぐ離れなさいよ! あんたの胸があたってマリーちゃん気持ち悪いって言ってんのよ!」
「いえ、サリーさん、マリー姉様は、あなたのだらしない胸があたって気持ち悪いって言ってるのですよ! キャッ! 痛っ! 何かが胸に刺さった!」
サリーの目から指先位の大きさの光るものが出て、リナの胸に刺さるのが見えた。小さなギルティビームだ。
「だらしない胸っていうのは聞き捨てならないわね! 自分で言うのもなんだけど、あたしの胸は綺麗なはずよ! 勝負よ! どっちの胸が綺麗か精霊の里の住民にあたしたちの胸を見くらべてもらう! 勝った方が第一夫人よ!」
「その勝負受けてたちます! 私だって胸の綺麗さなら負けません! 私の胸で、マリー姉様の一番を勝ち取ります!」
平和な戦いではあるが、どういう方法をとるのだろうか? 人を集めていきなり2人とも上半身をはだけるのだろうか? それより2人とも頭の中、大丈夫なのだろうか?
「そ、それなら、僕が2人の胸を見比べるというのでいいのではないでしょうか?」
僕はなけなしの勇気を振り絞る。
「マリーちゃん! 本気で言ってるの? 見た瞬間鼻血出して気絶するでしょ! 勝負にならないわ! それに、な、何て言うか、マリーちゃんにまじまじ見られるのは、恥ずかしいわ……」
サリーは赤くなる。まあ、正論だ。十中八九そうなるだろう。
ん、僕に見られるのは恥ずかしいのに、他人ならオーケーなのか?
「マリー姉様、リナの胸見たいのですか? 恥ずかしいけれど、頑張ります」
リナは僕から離れると上着を脱ぎ始めた。
「ストップ!」
「はうっ!」
サリーの指先から出た光の弾がリナにあたる。
「なにここで脱ごうとしてるの! 抜け駆けは許さないわ! マリーちゃんの前で脱ぐのは勝負に勝った方よ!」
僕の前で脱ぐのはご褒美なのか? いつもは止める側のサリーが今日は暴走してる。そう言うお年頃なのだろうか?
しばらく歩くと、建物みたいなものが見えてきた。
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