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 第十二話 変身な夜


「あれ! キラの兄さん、もしかして夜這いにきたんすか? もしかして、ロリ好きなんすか?」


 マグロが枕元の灯りを点けて目を擦っている。


 マグロと布団に入り、しばらくして、僕は苦痛で起きた。抱きついてるマグロをやんわりはがし、苦痛でうめき声が出そうなのを必死でこらえて、破れた服を脱いだ所だ。忘れていた、魔力が全快に近い状態で女性に触れたら僕は男に戻るということを……


「マグロ、僕はロリ好きじゃない。ところでギルティ君は?」 


 苦痛は収まってきた。僕は今全裸で布団に横たわっている。マグロが顔を寄せてくる。どうにかして服だけでも着ないと、変態かつ性犯罪者の烙印を押される。


「あの腐れウサギは収納にしまったっす! 早く気付けばよかったっす! こうすれば邪魔者なしっすね! マリー様の破れた服と下着! 兄さんマリー様に夜這いに来て逃げられたんすね!」


「違う、実はな、僕とマリーは同一人物なんだ、今ちょうどマリーから変身してしまったところなんだ」


「またまたぁ! なんか三流のエロ小説みたいな設定っすね! そんなことより、せっかく邪魔者いないんすから、布団の中に男と女やることは1つっしょ!」


 がばっとマグロは上体を起こし豪快に着てたネグリジェを脱いで投げ捨てる。


「クッ!」


 マグロはうめき声をあげる。瞬間に一回り大きくなりこっちを向く。大人になってる。チューブトップのブラジャーから胸がこぼれそうで、ショーツもぱつぱつに食い込んでる。なんというか、スポーツしてる人のように少し筋肉がついて健康的でメリハリのある体だ。正直可愛い! 絶世の美少女というわけではないが見てて安心するタイプだ。


「キラさん、あんまジロジロみないで欲しいっす! 恥ずかしいじゃないすか! マグロちゃん専用のけっこう伸びる素材の下着なんすけど、食い込んで痛いっす! 早く脱がしてもらえんすか?」


 マグロが僕の顔の前に胸を近づける! 少しは経験値を上げたはずだけど、僕の鼓動は早くなる。痛いくらいに脈動を感じる。僕のロンギヌスも戦いを求めてうずきはじめた! 裸じゃなければ逃げだしたいところだ! 


「もう、じれったいっすね! マグロちゃん奥義! テンプテーション!」


 僕は何をやっているんだろう? 目の前に僕の最愛の女性であるマグロがいるというのに!


「マグロ! 愛してる!」


 僕は思いを口にして、マグロを抱きしめる! なんて柔らかいのだろう! それに、マグロは魚屋さんの様な素晴らしい生臭い香りが微かにする。服に臭いが染み付いてるみたいだ。


「キラさん! 早くマグロの下着を脱がして!」


 僕のまわした手がマグロのブラジャーに触れる。


「ディスペル!」


 扉が開いて入ってきたサリーの魔法が僕を包み込む。


「ん、なんで僕はマグロを好きになりかけてたんだ?」


「危険な生き物ね、魅惑の魔法よ! キラさんが自分の意思でする事は邪魔しないけど、さすがに操られては良くないかなーと思って来ちゃいました」


「サリーの姉さん! すんません、あんま、キラの兄さん優柔不断なんで、ついつい……」


 マグロはさらに抱きついてくる。つい抱きしめてしまう。ブラジャーがずれて、柔らかいものが直にあたってる。やばい、ロンギヌスがグングニルに!


「マグロちゃん、離れなさいよ!」


「いや、キラの兄さんが抱きしめてくるんすよ!」


「もう、キラさん!」


 なんか修羅場っぽい!


「グラビティ・ゼロ! アクセル・テン!」


「キラの兄さん!」


「キラさん!」


 とりあえずマリーの服を取ってサリーをすり抜け逃げ出した。グングニルを覚醒させたままイカの部屋に逃げ込む



「キラ兄さん! あなた! 救いようのない変態なんですかー!」


 叫ぶイカを無視してタッチして誰もいないとこで苦しみながらマリーに戻り服を着る。


「お前! 露出狂なのか? 裸でうろついてたのか?」


 アナだ! 最悪の奴に見られた!


「あんまり人には迷惑かけすぎるなよ!」


 アナにしては常識的なセリフだ? 寝ぼけてるのか?


 イカに罵倒され、アナに心配され、僕はなんとも言えない悲しさに包まれて、1人ソファで横になる。しばらくして、誰かが近づいてきた。


「マリーちゃん! 風邪引くわよ。いこ」


 僕はサリーに手を引かれていき、ベッドで一緒に寝た。サリーの優しさが心にしみる。変に疲れた。この体質は、なんとかならないのだろうか?


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