第三十二話 夜道
「あともう少しで、あたしのお家なーのですーぅ。」
モミは、僕にしなだれかかっている。かなりの美女と触れ合ってる訳だけど、全くうれしくない。て言うか、むしろむかつく！
「どさくさに紛れて乳もむなやコラッ！」
こいつとは、金輪際、一緒に酒は飲まない。というか、関わりたくない。
今僕達は、夜道を歩いている。モミを彼女の家に送ってる所だ。ここはメインストリートで街灯で明るく、そこそこに人がいる。
酔っ払った服がボロボロな美少女二人、ひっきりなしにナンパされる。光に虫が寄ってくるかのように男共がゴイゴイ現れる。露出度が高いからそういう商売の人と勘違いされたりもする。勘弁して欲しい。
それにしても、戦闘能力皆無なのにも関わらず、モミはそのつどそのつど男共を激しく挑発する。
正直ここまで無事だったのが奇跡だ。生きた心地がしない。
「モミっ！ あんらのおうひまらちゅかないにょ？」
ううっ、口が痺れてる。自分でも何言ってるのか分かんない。頭いたいよー……
「マリー、あんた酔っ払ってるの、まーだまだ子供ねー」
僕はまだ素面だ！ 酔っ払ってんのは、あんただよ。子供に酒飲ませたのはあんただろ。
結局お店では、迷惑料も含めて小金貨５枚も払った。ぼったくりバーかよ。
まあだけど、辺り構わずモミがゲロりまくってたから、妥当な金額なのかもしれない。
モミへの情報料も含めて、今日はかなり散財した。このままでは、冒険者ギルドで依頼でも受けて稼がないと破産してしまう。
モミの話で、結局判った事は、多分魔法とかに詳しいと思われるハイエルフと言う謎の生き物が、村外れにすんでいるという事だけだ。ハイエルフというのは、なんか長生きしてる偉いエルフらしい。なんとなく住んでる場所もわかった。
エルフでこれなので、ハイエルフというのは、もっと凶悪な生き物だろう。嫌な予感しかしないが、今のところ、これにすがってみるしか無いか……
「ヒャッハー！ ここは通さないぜ！」
赤ら顔で多分酔っ払ってると思われる、トゲトゲで露出多めの冒険者装備したモヒカン三人組が僕らの前に立ち塞がる。昼のモヒカンとは違う。この村には何人モヒカンがいるのだろうか、ここは世紀末なのか？
「よう、お姉ちゃんたち、俺たちといいことしようぜ」
モヒカンの一人が肩をいからせて、僕たちを舐めるように見ながら近づいてくる。
「銀貨一枚！ 一人あたま、銀貨一枚でこの娘が何でもしてくれるわ。そりゃー何でもよー。キャハハハッ」
モミが指をビシッと突き出す。即座に人を売るなやコラ。しかも安すぎやろ！ 銀貨１枚だと弁当２つくらいしか買えないぞ。
「何でも……何でもなのか……」
「ゴクッ！」
モヒカンたちが喉を鳴らし、手をわきわきさせながら、にじり寄ってくる。
僕はモミをしっかり抱き寄せる。
「グラビティ・ゼロ！」
僕達はモヒカンズの頭上をふんわり飛び越える。音もなく彼らの後ろに降り立つと加速する。
「げっ、消えやがった！」
モヒカンの声が後ろに聞こえる。
「ウボボボボボボッゲェーーーッ！！」
モミが僕に向かって盛大になにかを吐きかける。こいつはほんとに女子なのか？
「揺らさないで、気持ち悪くなるでしょ！吐いたらどうするのよ！ 怒るわよ！」
何言ってるんだ、もう吐いとる吐いとる（怒）！
「……っ！ キャフッ！」
変な声がもれてしまう。僕の体に電流が走る。モミが僕のおっぱいの先端の敏感な所を摘まんでる。
セクハラ、エスカレートしてるな、おい！
力が抜ける。もう、エルフ嫌だ！
「あそこだ！！ 待てー！ 待てー！ おっぱいーっ！！」
僕は、全力で駆ける。頼むから、おっぱい揉むの止めてほしい！
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