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 ゴールデン・フィンガー(前編)


「いただきますっ!」


 色々買い物をした後、今は昼下がり、僕は少し遅めの昼食中。他のみんなは各々の用事で今日は僕は一人きり。とは言っても僕の影の中にはシェイドの部屋があって、シェイドもそこに居るはずだけど。

 

 僕が大好きなベーコンとほうれん草のエッグベネディクトをナイフとフォークで切り分ける。


 ベーコンとマフィンをフォークに刺してポーチドエッグに絡めて口に入れる。


 ああ、最高っ!


 なんか女の子ばっかのカフェで男が1人でエッグベネディクトを食べてたらなんかそぐわなく居心地が悪いが、マリーなら問題なっしんぐ。僕自身も可愛い女の子だかんね。しかも今日はサリーに着せられたゴスロリファッションだ。サリーは自分は嫌がるのに僕にこんな服を着せたがる。


 ここは開拓町ガンデュームのお洒落系のカフェ。木目調メインですこし無骨なかんじだ。窓に近い席で一人カフェ。オレンジジュースに軽く口をつける。


「ご一緒してもよろしいですか?」


 さっきから窓の外からチラチラと僕を見ていたお兄さんが声をかけてくる。もう8人目だ。シェイドを部屋から出すか? やっぱ1人なのがいかんのかな?


「すみません。待ち合わせしてるんです」


 嘘じゃない。一時たったらサリーが迎えにくる予定だ。お兄さんは悲しそうに立ち去る。もっと愉快な事したら相席してもいいんだけどね。

 そう言えば、前もこんな事あったな。確かこの後、モミが来て……



「いいかしら。ここ、座るわよ」


 僕の前に許可無く座る美人さん。タイトなスカートにボタンシャツ。セミロングの金色の髪から尖った耳が覗いている。変態クソエルフのモミだ。なんでコイツがここにいる? 確かコイツは王都のギルドの受付してるはずなのに?


 グビッ!


 ヤツは手にしたジョッキを傾けると、バンとテーブルに叩きつける。やばい、コイツ昼間っから飲んでやがる。しかも服装はギルドのだよね。仕事さぼって飲んでるのか?


「お前、何してんだ? 何でここに居る?」


 僕は緊張を隠しながら問いかける。危険だ。酒を飲んでるコイツは下手な魔獣よりたちが悪い。正直なにをされるかわからない。


「んあ、仕事だよ。ここのギルドに書類届けて後は帰るだけだよ。クソギルマスが私をパシリに使いやがって」


 いかん、ヤツは荒れている。ニトログリセリンを扱うかのように慎重にいかねば。


「おい、マリー。揉ませろ」


 座った目でモミが僕を見つめる。腐った目してやがるな。


「やだ」


 何で公衆の面前で揉まれにゃあかんのか? モミは恐ろしいがそれとこれは別だ。


「けっ。ゴールデンフィンガー!」


 モミが訳分からない事を言うや否やその姿が搔き消える。


「グラビティ・ゼロ!」


 瞬間、僕は嫌な予感がして重力をカットして後方に飛び退る。


 バキッ!


 目の前で僕が座ってた場所に立ち上がるモミ。その合わせた両手には木の椅子が刺さっている。椅子は真っ二つに割れて床に落ちる。モミの合わせて握った両手から伸びる金色の人差し指。


「命拾いしたなマリー。今日はお前に最高のカンチョーをくれてやる。ゴールデンフィンガー。金剛鋼アダマンタイトすら貫く最強の指を手に入れる魔法だ!」


「八つ当たりすなや! そんなカンチョー食らったら死んじまうわ!」


 店がざわめきに包まれて、僕とモミは対峙する。




 読んでいただきありがとうございます。


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