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 第三十話 魔神城にて


「ここが城のコアだ、大地からエネルギーを吸い出してるが、見ての通り、スカスカだ」


 魔神は水晶球みたいなのを指さす。なにが見ての通りなのか全くわからない。



 川遊びを十分堪能し、アルスたちを見送った後、準備して出発し、魔神城には何事もなく到着した。今は城の地下の魔道動力室に来ている。

 部屋には僕と魔神だけで入った。魔神言うには、魔法耐性が低いといろいろ吸い取られるらしい。物騒だな。石造りの地下牢みたいな所で、レバーみたいなものや、計器みたいな訳がわからないものが並んでいる。比較的新しく見える。


「それで、どうやったら魔力を充電出来るのか?」


「こいつに触れてくれ」


 魔神が示したプレートに触れる。触った瞬間少し力が抜ける。


「おお、素晴らしい、120%充填できた! これで、城の修理にもエネルギーをまわせる!」


 魔神は嬉しそうだ。しばらく魔神は部屋の色んなものをいじっていた。退屈だ!


「おお! 転移装置が1セット無事なのがある!」


 魔神は僕に2本の杖をくれる。


「2つの杖を刺して、キーワードを唱えるとそれぞれに転移魔方陣が展開される。使い捨てではあるが、辺りのエネルギーを吸収するタイプだから陣が光ってるときはいつでも使える!」


 キーワードを教えて貰ってメモって一緒に収納にしまう。転移魔方陣を設置する杖か。かなりの貴重品だと思うから使い方はよく考えないとな。


「魔神、ありがとう」


「いや、礼を言うのはこちらの方だ。これで城も幾分復旧する。ありがとう」


 初めてこいつが頭を下げるのを見た気がする。技術者タイプなのだろう。自分の作ったものに愛情を持ってるんだな。


「では、転移装置の所へ行くとするか」


 僕と魔神は、動力室をあとにして転移装置の部屋に向かう。


「よろしくないな。お前のせいで幾分魔道術式に綻びがある。使えるのは1つだけか……」 


 沢山の魔法陣が部屋の中にあり、デブ魔神はそれらを1つ1つ丁寧に観察していく。


 しばらく魔神は腕を組んで考え込む。


「10日、いや、7日欲しい。魔領への術式と魔力充填装置のリンクがオーバーフローで焼け切れていて、使えるのは近場の奴だけだ。俺の計算によると7日、1週間はかかる。急いでいるかもしれんがこれだけはどうしようもない。さっきの爺さんがいれば話が違ったと思うが」


「近場ってどこだ?」


「お前と初めて会った所だ」


 ああ、あの時の遺跡か。しょうが無いな。それなら7日待つしかないか。


「解った。じゃあ頼んだぞ」


 僕たちは魔神に食料を後で届ける事を約束して、その魔法陣に踏み込む。


 移動した先は真っ暗だった。


「ひゃうっ!」


 即座に胸に誰かの手がのびる。直にきやがった。アナかっ?


「光よ!」


 サリーの魔法で辺りが照らされる。


「モモさん!」


「ごめん、つい……」 


 モモさんが自分の頭を軽く小突いて舌をだす。これは伝説の技『ごめんぺろ』だ。僕は感動で震えた。


 崩れた岩のゴーレムの破片とベルの空けた穴に気を付けながら遺跡を進み外に出た。ベル、アルスと魔神との出来事を思い出しながら。


 僕たちはわきゃわきゃしながら、とりあえず遺跡のそばの町ガンデュームへと向かうことにした。魔領へ向かうまでの1週間、何をしようか? しばらくゆっくりするのもいいかもしれない。


 金色のカブトムシの上で心地よい風に吹かれながらそんな事を考えていた。



  第十二章 魔領を目指して 完



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