第二十四話 ゴッドフェニックス
「おおっと、学長トップに躍り出たーっ!」
サリーが実況している。学長は流れるような見事なバタフライで3人を引き離していく。
「邪神化! 変化!」
平泳ぎみたいに泳いでいたイカの周りを黒いもやが包み、等身大のイカが現れる。まるで飛んでいるかのように滑らかな泳ぎで学長に迫る。あれ絶対飛んでるだろ。けど、幾つかの足が水についているからセーフだろう。
「オオオオオオオッ!」
首を出したちまちました平泳ぎのアルスが叫ぶ、金色の光に包まれ髪が逆立つ。
アルスが見るからにマッスルになる。
明らかにスピードアップする。
泳ぎは筋肉じゃないって言ってなかったか?
イカ、じじい、アルスで熾烈な先頭争いが繰り広げられる。マッスル2人とイカが絡み合ってる。
きったねー絵ずらだ!
誰得やねん。
「奥の手だ!」
引き離されたギル王子がその場で止まる。
「ウオオオオオオオオーッ!」
すさまじい力が王子に収束していく!
辺りの空間が軋む。
「俺の体が真っ赤に燃える! 勝利を掴めと轟き叫ぶ!」
なんか聞いた事のあるセリフだな。大丈夫なのか?
「爆裂! ゴッドフェニックス!」
王子は爆炎を纏い真っ赤に燃えて、辺りの水を蒸発させながら川底を走り出す。もはや、微塵も水泳ではない!
「ドウリャーッ!」
王子はみるみる3人に近づく。
まずは、水が蒸発して無くなってイカが燃え上がり脱落する。香ばしいイカ焼きの臭いが辺りを包み込む。生きてるのか?
あとの2人も炎に包まれ弾かれるが、川底に足をつき走り出す。これは全員失格でいいんじゃないか?
「俺の泳ぎを見せてやる!」
アルスが走りながら叫ぶ。
「いやいや、もう泳いでないから」
つい、ツッコんでしまう!
「学園1のスイマーの意地見せてやる! ファイアープロテクション!」
じじいも叫びながら、多分耐熱の魔法を唱える。
「もう水泳関係ないから! 水泳に耐熱の魔法いらないから!」
今度はサリーがツッコんでくれた。以心伝心だ。僕らは見つめ合ってにっこりする。
「マリーと添い寝するためだったら、俺はこの命! 全てを犠牲にしてやる!」
王子が叫ぶ!
ただの添い寝に全てをかけるな!
王子から吹き出す炎が威力を増す。
あと少しでゴール、学長とアルスは追いつけない。
「俺に力をーっ! モミモミハンド!」
アルスが叫ぶ!
何かに足を取られて、王子が転倒する。なんだ、その三流エロ小説とかに出てきそうな技は?
3人は転倒してもんどり打ちながらゴールになだれ込む。男3人組んずほぐれつ気持ち悪い景色だ。
「勝者! アルスーーッ!」
シェイドがアルスの手を取り上げる。
「ウオッシャー!」
アルスは割れんばかりの大声で、膝をついて激しいガッツポーズを放った!
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