第二十九話 パンツ
とりあえずテーブルにつき、コーヒーを2杯たのむ。うんこエルフも座る。集まってた人々も、イベントの終わりを悟ったのか、各々散り散りになる。
「そういえば、お前何してるんだ? 仕事大丈夫なのか?」
問いかけたあと、運ばれてきたコーヒーを一口含む。カフェインが心を落ち着かせる。そして砂糖とミルクをどさどさ入れる。
「あーあ、あんたのせいで、今日の給料半額カットだわ。とりあえず、払いなさいよね」
うんこエルフが、若干動揺しながら、口を尖らせる。忘れてな。仕事の事。
「なに言ってやがる。完全に自業自得だろ」
「何であんたに声をかけたのかはね。あたしたちギルド職員は、目かけてる冒険者が出世したら自分も出世すんの。だから、困ってるの見つけたらフォローしてんのよ。優しいでしょ」
どこが優しいんだ? とてつもなく我欲にまみれた現金なやつだ。
「ところでさ、お前、魔法や呪いに詳しい人知らないか?」
「やっぱ、その乳、呪いなのね、ホルスタインになんか恨みかってるの?」
「知るかボケェ、牛に知り合いなどおらんわ! てめーこそ、ひんぬーの呪いかかってるんちゃうのかよ! いてこますぞ! われー!」
「上等じゃ、かかってこいやー!」
僕たちは同時に椅子を蹴って立ち上がる。
いかん、これじゃエンドレスだ。
いつの間にか増えたカフェのお客さんが、僕らを注目してる。気が付いたら男しかおらん。お洒落なカフェだったのに……
なんだかんだで、僕はおっぱいがはみ出そうになってたし、お尻もはみ出たりしてたしな。
服も微妙にいろんなとこが破けてる。服としてなんとか機能してるが、どうもブラジャーは中でちぎれてるような気がする。うんこエルフも似たようなもんだ、服のあちこちが破けほつれてる。
「止めよう疲れた。とりあえず座ろうか……」
僕たちは腰掛ける。思い起こすと、僕は初めて女性に触りまくった筈だけどなんとも思わない。男と相撲してた感じだ。ひんぬーだし。かなりの美人さんなのに残念だ。
「さっきの話だけど、いい情報があるわ。そうねー、小金貨1枚でどう?」
う、高い、小金貨1枚は、だいたい肉体労働の一日の日当くらいだ。しかも、こいつの話だから、がせの可能性もある。
だから僕は!
「知ってることを、洗いざらい話せ! 有益だと思ったらこれをくれてやる!」
バシン!
大金貨をテーブルに叩きつける。小金貨の10倍の価値だ。
「ほえ?」
エルフの目が点になる。
「それと、服と下着をよこせ、普通のやつをだ」
「アンタって、そういう趣味なのね……服は、勘弁して」
うんこエルフは、立ち上がり、スルッとパンツを脱ぐと、僕の前に差し出す。咄嗟に受け取ってしまう。汗でしっとりしてる。エルフって馬鹿なのか、脳みそ腐ってんのか?
「ボケェー! 貴様の下着なんぞいるかー! 穿けー! 穿けー!」
僕はうんこエルフの顔にパンツを投げつけ、首を絞める。
「冗談よ! 冗談! ちょっと体張ってみただけじゃない!」
「女子が、体張るなや! どん引きするだけやろがーー!」
カフェに僕の怒号がこだまする。
嗚呼! 不毛だ…………!!
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