第十五話 真夜中のマリオット
「おい、起きろ。でかちち」
座敷わらしが僕の頬をペチペチしている。聞いた事のある声、そうだ、ゲイボーイのサクラだ。
「俺たちを見て気を失うとは、相変わらず失礼極まりない奴だな」
塗り壁みたいな奴は、デブ魔神だった。
「いや、怖いから、夜中見たらお前ら妖怪にしか見えんし! 自分で自分を鏡で見てみろや! で、何しに来やがった? なんか知らんが体動かんのだけど!」
「口が減らないヤツだな。僕が妖怪に見えるとか、相変わらず、失礼極まりない奴だな。お前のベッドに転移の魔道具と金縛りの魔道具をあらかじめ仕込んでたんだよ。お前が今寝てるのは、王子のベッドだ。僕はお前が嫌いだが、王子の望みは全て悪魔に魂を売ってでもかなえてやる!」
サクラは甲高い声で言うだけ言うと、ベッドの下の方に頭を潜り込ませる。こいつなにしてんだ?
「スゥ、ハァ、スゥ、ハァ」
ベッドの中から荒い息が聞こえる?
もしかして嗅いでいるのか、王子の臭い、しかも足を!
僕はぶるっと震える!
サクラ、ここまで墜ちるとは!
確かに、サリーやモモさんの匂いは僕も好きだが、男のしかも足の臭いなんか死んでも嗅ぎたくない。ウ〇コの臭いでも嗅いだがマシだ。
「グフフフ!」
でぶ魔神が豚のような鳴き声をだしながら、近づいてくる。
やば、キモ、キモ過ぎる!
「近づくな! この自分で尻も拭けない生き物が!」
「それを言うな! ここにはゴーレムがいない! どういう事だか解るか? マッスル達に抱えられて用を足し、マッスルたちに拭いて貰う! 地獄な事だが、しかもマッスルたちは拭くのが上手いんだーーーーっ!!」
僕は背筋が凍りつく!
嫌だ!
死んでもそれは嫌だ!
一生消えない傷が心をさいなむ事だろう!
カチリ!
でぶ魔神が僕の首に首輪の様なものをつける?
「サクラ殿。準備は出来ました。お楽しみはここまでで」
「王子の香り最高だった……」
僕の口から変態言葉が発せられた?
なにっ、なんなんだ?
もみもみもみもみ……
僕は自分の胸を揉みしだく?
「やはり、マリーの胸は最高だ」
また、僕は自分の意思に関係なく言葉を紡ぐ。
もしや?
「どうですか? 同調はしっかりできてますか?」
「ああ、さすが傀儡魔神と言われただけあるな。完璧だ。感覚もしっかり共有できている。これで王子と愛し合う事が出来る。バーチャルだけど、まあいいだろう」
なんだと……という事は僕はサクラに体を乗っとられているのか? クソッ。動け僕の体。ダメだ。いうこと聞かない。ヤバい。このままだと、あの変態王子の毒牙にかかっちまう。
「グフフフ。マリー、これで溜飲が下がるというもの。せいぜい王子に可愛いがってもらうんだな!」
「フフッ。楽しみだ。僕の夢が叶う。お前はクズだけど僕の役にたちそうだ。ありがとう」
聞いただけで殺意がわくような言葉で、罵倒してやりたいけど、声がでない……
「グフフフ!」
「フフフフフフッ!」
2人は、哄笑をあげながら僕を残して去って行った……
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