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 第十話 魔神の真の名前


「じじい! 気がすんだか? 2人っきりの世界に入るな! 恋人か!」


「何を馬鹿な事言っとる! 今の話で魔道理論が数歩先に進んだのじゃぞ!」


「解った。解った。後で2人っきりでしっぽり話せ!」


「しょうがないのう……」


 やっとじじいは黙った。本題に入れる。


「魔神、前、遺跡から転移したよな? あの遺跡からどっか行けるのか?」


「ん、なんでお前にそんな事言わねばならんのだ?」


 むむ!


 生意気!


「王子、こいつ生意気だぞ」


「おいおい、マリー! 魔神はうちの参謀だ。お前の子分じゃないぞ」


「王子、お金貸したよな」


「う、解った。魔神、マリーの言うことに答えてくれ」


「我が主、かしこまりました。でか乳、お前のせいで、転移魔方陣は魔力切れで動かない。魔力を補充したら、つながってるのは、魔領の我が屋敷と、お前と会った遺跡だけだ。俺は転移魔法陣は作れない」


 何を偉そうに自分の無能を言い散らかしてるのだろうか。突っ込んでやりたいけど、話が進まないので我慢する。


「魔領のどこだ?」


「テーブルマウンテンの断崖の近くだ」


 ビンゴ!


 もしかしたら、迷宮都市サーレに行けるのでは?


「あの、誰も聞かないけど、魔神さんってなんて名前なのですか?」


 モモさんが手を上げる。あっちゃー、誰もつっこまないのに。こいつ肩書きだけしか伝わってないってことは、


 1、発音しにくい!


 2、長い!


 3、卑猥! 放送禁止!


 この多分どれかで、口にするのがはばかれるのでは無いかと思われる。モモさんは常識人だからやむなしか……


「よくぞ聞いてくれた! 我が名は、チン……」


「待った! お前、女子の前で口にだすな! 王子、昔の名前は捨てさせて、新しい名前をつけてやれ!」


 多分、3番だったと思われる。


 多分聞くだけで不愉快になる名前なんだろう。


「よし、わかった! 参謀お前の名前は、今日からチン……」


 ぱしーん!


 僕は王子の頭を叩く。


 子供なのかこいつら。


「お前ら、バカなのか、女子のいる公衆の面前で、いい年こいて、王子や伝説の魔神が、ちん○んや、ち○ぽとか言うなや!」


 ん、女子たちの顔が赤い?


 バチーン!!


 誰かに激しく頭を叩かれた!


 サリーだ!


「マリーちゃん、あなたこそ、聖女が公衆の面前で汚い言葉を使わないの! 今から下品な言葉、がさつな男の子っぽい言葉、身分や年齢を考慮しない言葉を使うたびにお仕置きよ! 王子様、学長先生、魔神さんすみませんでした。しっかり教育しますので」


 サリーが頭を下げ、僕も頭を下げさせられる。


 なんかあいつらに頭を下げるのは納得いかない。


「サリー! じゃツッコミのときは?」


「女の子らしくツッコミなさい!」


「おい、サリー、女の子は突っ込まれるものだろ?」


「アナ黙れ!」


「はい……」


 サリーの殺気でアナが黙る。


「じゃあ、あいつらが変な事言ったときは?」


「マリーちゃん。アウト! あいつらじゃなくて、あの方たちがでしょ!」 


 サリーは僕をキッと睨むと飛びかかってくる。


「こちょこちょこちょこちょ!」


「キャハハッ! 止めて! 死ぬ! 死ぬー!」


 しばらく僕はサリーの攻撃にのたうちまわった……くすぐりは反則だ。


「ふぅ……ふぅ……死、お隠れになられそうでしたわ」


「もう、終わりなのか! やっぱすげーな、お前! 乳がぶるんぶるんのたうちまわってたぞ!」 


 王子が嬉しそうに話す。


「あん? エロい事言うなや! いてこますぞわれ!」


「マリーちゃん、アウト! アナ! お仕置き!」


「りょーかい」


 アナもくすぐりに参戦する。やばい!


「ごめんなさい! 止めて! 止めて下さい」


 王子が小さくガッツポーズをしてる。


 はめられた!


 あの変態どもは僕が悶えるのを見たいんだ!


 よくみると、じじいもデブも僕をがん見している。


「はめられた! 王子にはめられたんだ!」


「マリーちゃん、更にアウト! エッチな言葉禁止!」


「はめられたって言うのはそう意味じゃなく、騙されたっていうか……きゃあ、あっ、キャハ! キャハハハハハハハハッ!!」


 僕は2人がかりでくすぐられて、床をのたうちまわった。


 やばい!


 呼吸困難で死にそうだ。


 神様助けて下さい。


 これからはちゃんと女の子らしく振る舞います。


「助けてー! キャハハハハハハハハハハッ!!」


 誰か僕を助けてほしい……



 読んでいただきありがとうございます。


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