第六話 メテオスウォーム
「うおおお! 俺のリザードマンたちが……おのれ! 許さん! かたきをとれ!
行け! ドラゴン! あいつらを恐怖のどん底に叩き込むんだ!」
カメラが上空に切り替わり、騎士団の上にドラゴンが現れる!
上空から火の玉を吐き出し、隊の数ヵ所に炸裂し、やっと騎士団は歩みを止める。
さすがドラゴンだ!
天空の覇者にして全ての生物の頂点に位置する存在。
喜んだのもつかの間、下から重騎士が飛んできてがつがつドラゴンに攻撃を加えてくる。
「なにっ! 何故奴らは飛んでくる?」
魔神の声に連動して、カメラは騎士達を映し出す。二人一組で、一人は地に背をつき足を上げ、もう一人は跳び上がり寝転がってる方の足に綺麗に着地する。二人は足を曲げ引き絞り、同時に足を伸ばす。次の瞬間上の者は弾丸のように飛んでいく。
おお、伝説の技『スカ〇ラブハリ〇ーン』だ。伝説のサッカー漫画の双子さんの技で、子供の頃アニメの再放送を見て子供的には納得できる理論なので友達と練習してみてその難易度に愕然としたものだ。『空愛竜巻』、和訳するととたんに訳わからないものになってしまう。
それにしてもさすがだ!
前回の教訓を生かして、対空攻撃も編みだしたのか……
けど脳筋すぎるだろ!
「関節とか、体の継ぎ目を狙え! 肉や鱗を駄目にするな! できるだけいい状態で倒せ!」
王子が大声で指示を出す。もはやドラゴンも獲物なのか……
ドラゴンは翼を折られ地に落ち首を落とされる。
重騎士団は隊列を整えると、また進軍し始めた。
「魔神、どうする? なんかあいつらを止める方法は無いのか? このままだと、僕はあいつらの誰かの嫁にされちまう。お前も嫌だが、マッスルはもっと嫌だ! なんとかしろよ!」
「フッフッフッ! 安心しろ! あいつらをやっつけて、お前は俺のものにしてやる! 安心しろ! こういう時のために、最高最強の魔法を込めた杖も用意してある! 1回こっきりしか使えないが、あいつらをこの世から消滅させてやる!」
魔神さんは強気だが、僕には負けフラグにしか見えないよ。安心しろって2回も言ったよね!
不安なんだな……
魔神はふらふらと立ち上がると、テラスに向かい歩いて行く。杖を手に、両手を上げる。
「焼き尽くせ! 隕石雨! 泣き叫べ! 下等生物どもが!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
少しの静寂のあと、大音響を上げながら、空から無数の隕石が飛来し、騎士団に襲いかかる! おお、『空に存りしは遊星、地に落ちしは流星』の言葉で有名な究極魔法『メテオストライク』の上位互換、その連打の『メテオスウォーム』だ!!
さすがにこれならアイツらも一網打尽だろう。
「団員全員に告ぐ!隕石は高く売れる!一つ残らず優しく受け止めろ!」
画面に騎士団長と思われる他よりゴツイ鎧の人物が映しだされる。その者は飛来した巨大な隕石を優しく抱擁し、鎧を溶かしながら受け止める。後ずさり、止まった時には、鎧は全て溶け去り、赤いブーメランパンツのみのマッスル騎士団長が現れた!
「あっちゃー! 舞台のお膳立てにしかなってないよ!」
「ば、馬鹿な! 有り得ん! くらいやがれ! 究極極大の最後の一発!」
画面に巨大な隕石が映し出される。
「おお! 最高のご褒美だ!」
青い鎧が跳び出した!
ギルフリード王子だ!
王子は両手で隕石を止めるが炎に包まれ、ジリジリと後ずさる。騎士団員たちが、横、後ろとかから王子を支え、支えた者をまた次の者が支え、全員炎に包まれる! おお、友情漫画みたいだ。
「おお! いただきます!」
王子の声が響き、炎が王子に収束する!
鎧がバターのように溶けて流れる!
「どっせいやーーーーーっ!」
気合一閃、王子は隕石を押し返し脇にうっちゃる!
あとには真っ赤な体に赤い髪、赤いブーメランパンツの王子が現れた!
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